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こんばんわ!
12/18週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・日銀が今回、または次回の政策金利決定会合にて、マイナス金利を解除するとの論調が強い。
・しかし仮に日銀がこれまで通りの対応だった場合、大きく円安方向に動く可能性。
・アメリカは利下げ時期について検討を始めているとのことだが、時期尚早。
・ユーロ、イギリスにおいてはインフレ鈍化傾向は見られるが、利下げは時期尚早。
・クロス円においては、日銀のマイナス金利解除、海外の利上げを織り込みすぎている可能性。


 先週のドル円はFOMCでのパウエル議長の発言を受けて大きく下落。その後は今週の日銀政策金利決定会合への警戒感もあってか、レンジ気味の展開で推移しました。


 日本については、先々週、植田総裁の意味深なチャレンジング発言が世界的に注目を浴び、大きな円買いへと繋がりました。どうやら、海外では12月か来月1月の会合で日銀がマイナス金利を解除する可能性が高いと捉えているようです。海外の報道を見る限り、現状維持はサプライズですらあるとの見方が強いようです。

 しかし、マイナス金利解除に向け、これまでの慎重過ぎるまでの植田総裁の動きを鑑みると、今回、或いは次回の会合にてマイナス金利を解除するとは思えません。少なくとも来春の賃上げ動向を見た上で、マイナス金利解除の検討を始める可能性が高いと考えています。植田総裁の発言後、マイナス金利解除を急ぐ必要が無いと、日銀関係者からは弁解とも言える発言も出ています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 よって今回の会合においては、マイナス金利を解除可能な条件が整いつつある、程度の発言で終わるのでは無いかと個人的には考えています。そうやってマイナス金利解除を市場に徐々に織り込ませていくことで、いざ解除した際のインパクトを緩和する狙いがあるのではないでしょうか。

 仮にそのような鳩派発言(海外からすると)が出た場合は、大きく円安方向に動くことが想定されます。少なくとも、チャレンジング発言をする前の147円あたりまでは戻る可能性があります。テクニカル観点や海外の長期金利動向を考慮すると、流石に10月までのような一方的な円安トレンドにはならないとは思いますが、再び円のキャリートレードが復活してもおかしくはありません。

 しかし、植田総裁が意味も無く、市場を勘違いさせるような発言をするとも思えません。もしかしたら、今月か来月、本当にマイナス金利を解除する可能性もあります。その場合は、他国との金利差縮小が意識され、円高トレンドがより強固なものになると考えられます。

 いずれにせよ今回日銀の動きは想定し辛く、どのような結果になったとしてもサプライズを感じる人が多そうな展開だと思いますので、予想するよりも実際の発表を見てから動いた方が良さそうです。


 アメリカについては、先週、CPIの発表、そしてFOMCがありました。CPIについてはほぼ市場の想定通りの結果。前月比における微上昇は多少のインフレ高止まり感を示すものとなりました。翌日にFOMCを控えていたこともあり、CPI発表後の動きは限定的。サプライズの無い結果だったということでしょう。


 逆にFOMC後は、大きなドル売り、そして円買い。ドル円は一気に5円の動きを見せました。金利は据え置きで想定通りでしたが、注目されたのはパウエル議長の会見。パウエル議長は利下げ時期について議論していることを明らかにしました。先月時点では、インフレ再燃を防ぐためには一層の引き締めも躊躇わないと発言しており、わずか1ヶ月で大転換。来年早々の利下げ論については否定気味の論調が多くなっていた為、現段階での利下げについての言及は明らかなサプライズとなりました。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 しかし、雇用統計を始め、CPIやPMI等の経済指標を見る限り、ここのところはインフレが高止まり気味の状況であり、先月時点との変化はほぼありません。その状況で利下げ時期を議論するのは早過ぎるのでは?といった印象を受けます。金曜日には、連銀総裁がパウエル議長の発言を否定するかたちで、来年早々の利下げは早過ぎるとの発言をしています。結果、ドルが買われる展開になっていますが、やはり市場は利下げ方向に先走りすぎかなと感じています。利下げに向け、儲ける為にもいち早く仕掛けたいといった気持ちは理解できますが、場合によっては手痛い出費を払う可能性があります。

   ※引用:ロイター(画像クリックで記事にアクセス)



 アメリカにおいても日本と同様に鳩派、鷹派の強弱入り混じった見立てで溢れており、カオス状態です。こういった時は、全ての出来事が一方には想定通りでも他方にはサプライズになります。よって、ファンダメンタルズ要素によって値動きが大きくなる展開が予想される為、報道や経済指標については要注意だと考えています。


 さらに先週はEU、イギリスにおいても政策金利の発表及び、PMIの発表がありました。政策金利においてはEU、イギリス共に金利据え置き。しかしアメリカとは反対にどちらの議長も、利下げは検討すらしていない、との鷹派な発言がありました。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 最も怖いことはインフレの再燃だと思われます。インフレ再燃の場合は更なる利上げを実施する必要が生じます。その場合、リセッションに陥る可能性が高まりますし、利下げ後の経済を考えた時、これ以上の利上げはしたくないところです。よって、インフレ再燃を避ける為にも、現状の高金利状態を維持させることを目的として鷹派の発言をしているのだと考えられます。

 しかし、直近の経済指標からはインフレは確実に抑えられてきているという結果が見て取れます。よって、市場の見方として、これ以上の利上げは考えられず、利下げ時期を検討していく段階であると考えているようです。もちろん、PMIの結果が悪かったこともありますが、政策金利発表後には買われていたユーロ、ポンドは、ほぼ行って来いの状況です。


 これらの状況を整理した際、クロス円通貨は少々、未来を織り込みすぎなのではないか?と考えています。日銀のマイナス金利解除、そして海外の利下げは市場の見立てより先の可能性が高いです。未来を織り込み、円が買われている状況なのだとすると、反対の結果が出た場合は大きく売られる展開も想定される為、要注意かなと考えています。

 日本は利上げ論、海外は利下げ論で二転三転の状況ですが、こういった際は報道一つで突如大きな動きが生じることが多いですし、トレンドが変わることもあります。一方的な考え方に染まらず、どちらに転んでも動けるようにしておいた方が良さげです。また、毎年クリスマスシーズンは相場が動かなくなります。相場参加者が薄くなると謎の動きも出てきますので、ここから年末にかけては無理せず、見ている勇気も必要かもしれません。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルは下落トレンドが続いており、基本は戻り売り。
・しかし、下落波動が終了の可能性もあるので要注意。
・日足レベルは下落トレンド継続の可能性が高いが、戻り高値までの上昇もあり得る。
・週足レベルでも下落傾向が続いているが、トレンド転換はまだ先の話。


 先週のドル円は植田総裁のチャレンジング発言からの戻し(上昇)から始まりました。しかし、その後はトレンドに沿って下落。テクニカル的には綺麗にトレンドができている状況です。


 4時間足レベルでは、大きく下げた状況から大きく戻していました。結果、形的には綺麗な戻り高値出現。ファンダメンタルズ要素がトリガーとなりましたが、安値更新するレベルの下落を見せました。しかし、再びMAとの乖離が大きくなってきており、ここから大きく下落する為には一旦、戻る必要がありそうです。ただ、今回の下落は5波動目っぽい雰囲気があります。仮にこれで下落波動が終了なのだとすると、ここから4時間足レベルで上昇トレンドに転換する可能性があります。勿論、10月までのように一方的にトレンドが継続するパターンもあり得ますが、ファンダメンタルズ要素の変化と併せ、一旦、トレンド転換する展開もあり得ますので要注意です。


 日足レベルでは、戻り高値的な展開から大きな下落を見せました。基本的には長期的に下落トレンドが継続する流れだと思われます。しかし、如何せん動きが早過ぎであり、先週の上昇を日足レベルの波動(2波動目)として捉えるのは厳しいです。よって、もう一回上昇し、戻り高値を形成した後、下落するパターンも考えられます。ただ、MAの形を見る限りでは典型的な下落の型である為、長い目で見た際には下落継続となる可能性が高そうです。


 週足的にも大きな下落が続いている事が見て取れます。まだ上昇トレンドの範疇ではありますが、着実に下落転換への道を進んでいます。しかし、転換に向けての防衛ライン(トレンドライン)まではまだ距離があり、到達までは時間を要しそうです。よって、下落が進んでいるとは言え、週足レベルの下落転換はまだまだ先の話になりそうです。


 先週から引き続き、下落が続いていますし、長期足においても下落傾向が強まっています。よって、長い目で見た場合は下落トレンドが継続する可能性が高そうです。しかし、短期間で大きく下落し過ぎた事、またファンダメンタルズ要素も考慮すると、短期的にはある程度の上昇も考えられるので要注意です。

 それでは今週もがんばりましょう!

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