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7/22週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・用心発言により、円は乱高下。
・日銀が動くかどうかで長期的なクロス円トレンドが変化する可能性。
・アメリカは小売売上高が想定を上回ったことで、長期金利が微上昇。
・ユーロは変化無し。


 先週のドル円は再び急落。一部では再介入があったとの噂すらあります。そう思わせるくらいの急落でしたが、金曜日にはほぼ戻してきている状況です。


 先週の日本発のトピックは、河野太郎デジタル相の利上げすべき発言。トランプ氏の円安に対する否定的な発言もあり、一気に円買いが進みました。

 河野デジタル相による、円安を抑える為に利上げすべき、という発言についてですが、恐らくこの発言単体であれば相場に対して大きなインパクトは与えられなかったと思われます。しかし、直前にトランプ氏がドル高・円安に対する否定的な発言をしていた為、その意図を汲む形で日本が対応したと見られました。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 トランプ氏は次期大統領となる可能性が高いですし、河野太郎デジタル相は次期総理大臣になると海外からは見られています。よって、二カ国間が協調してドル安・円高政策を推進する可能性があると捉えられ、急速的に円高が進んだと見られています。

 加えて前週には円安を抑える為、2度にわたる為替介入を実施しています。よって、日本はいよいよ本格的な利上げを実施する可能性がある、という憶測も高まったのだと考えています。来週には政策金利決定会合も控えていますので、そこで利上げをするかもしれない、と危惧したキャリートレーダー勢が利確し、円を買い戻した可能性もあります。そういった要素が重なり、大きく円高方向に動いたのだと思われます。

 しかし、大きく円高方向に動いたからなのかはわかりませんが、今度は逆に円高に対する牽制が増え始めます。まずは元日銀関係者からの日銀が利上げする可能性は低い、といった報道。日銀は円安是正のために利上げはしないという至極当然の意見ではありますが、利上げ疑惑が加熱していた海外勢に対する冷や水になったかと思われます。

 

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 そして、鈴木財務大臣からの河野デジタル相に対する苦言。要は相場を動かすような発言をするなという牽制です。個人的には為替介入をするよりこういった発言の方が円安歯止めに対しては効果がある気がしていますが、やはり日銀に対する利上げを督促するような相場環境にはしたくないといったところでしょう。これを受け、河野デジタル層は、今、日銀に対して利上げを督促したわけではないと弁明しています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



   ※引用:ロイター(画像クリックで記事にアクセス)



 これら利上げに対する否定的発言により、155円まで円高方向に動いていたドル円は、気がつけば158円付近まで戻される状況に。結局、先週末時点まで戻って来ている状況です。

 これらの動きを見て感じたこととして、やはり今の円安の主要因は金利差だなと感じました。円安になる要因として、将来的な日本の人口減少による円の価値毀損や、新NISAによる海外投資の活性化、金融緩和の継続等、さまざまな要因があるかと思います。しかし、金利差が縮まる可能性が高まる発言が出た際は、一気に円高に動いています。

 やはり、海外からは日銀は動かない、動いたとしても微々たるものと見られている可能性が高いのではないかと考えています。海外かれすれば利上げしない理由が理解できないでしょうが、結局動かない日銀を見て、日本という国が円安を望んでいるのかもしれない、と考え始めていると思われます。

 そんな中、金利を上げるという状況になれば前提は崩れ、円は一気に買い戻されると思われます。個人的には、今月の政策金利決定会合は、国債買入の多少の減額で終了すると考えています。その場合、やはり日本は金利を上げる事を拒み、長期的目線では円安を望んでいると捉えられ、再び円安方向に動く可能性が高いのかなと考えています。逆に、本当に宣言通り国債買入の大幅な減額を実施する、或いは利上げを実施した場合は、急速的に円高方向に動いていく可能性が高いと考えています。いずれにせよ、円の将来的な方向性を握っているのは「日銀」だと考えています。


 アメリカでは、小売売上高の発表がありました。前日にパウエル議長の利下げに対する自信が深まったという発言があり、長期金利は下落していました。しかし、この結果が想定を上回ったこともあり、長期金利は上昇しています。





   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 前述した通り、次期大統領となる可能性が極めて高いトランプ氏は、インタビューにてドル高・円安・元安に対する牽制発言をしています。関税をかけるといった趣旨の発言もしており、就任時にはドル安に誘導する可能性が高いと見られています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 この発言により当然ながら円は買い戻されていますが、インフレが収束していないアメリカで、果たしてどのようにドル高に誘導するのかは疑問です。大幅な利下げや、減税は、インフレを再加熱させる可能性があります。となると、考えられる一つの手段は他国への干渉、特に日本の金融政策に対しては、関税を盾にして干渉してくる可能性があるのかなと考えています。果たして、その時の日本の政権がトランプ氏と渡り合っていくことが出来るのかは分かりませんが、トランプ氏が就任した暁には、やはり円高方向に動く可能性が高いのではないかと考えています。トランプ氏の大統領就任はほぼ決まったも同然であるため、今後もトランプ氏の発言については要注意です。


 ユーロ圏においては、ECB政策金利決定会合がありましたが、想定通り動きはなし。9月の利下げ有無については何も決まっていないと発言するに留まりました。結果、長期金利はアメリカの金利上昇の影響を受けて上昇しています。また、イギリスではCPIの発表がありましたが、こちらも想定通りだった為、無風で終わっています。


   EU10年債 ※引用:楽天証券


 ユーロ圏においては、だいぶ物価上昇率が落ちて来ています。しかし、金利を急激的に下げることによってインフレ再燃のリスクを背負いたく無いという状況だと思われます。9月に利下げするかどうかは不透明ですが、ここ最近の経済指標を見る限りではだいぶ横ばいになっている為、9月も様子見になる可能性が高そうな気がします。特に、もしアメリカが利下げするようであれば、影響を受け金利が下落する可能性が高い為、何もする必要が無いかもしれません。よって、暫くの間はユーロ圏の金利は安定した動きになるかもしれません。


 纏めると、トランプ氏と河野デジタル相の発言を受け、クロス円通貨は円高になりました。しかし、日本側は円高要素を否定。結果的に再び円安圧力が戻って来ています。アメリカ、ユーロについてのその他の大きなトピックはありません。やはりクロス円通貨においては日銀関連の発言に加え、トランプ氏の突発的な言動が影響を与えそうです。

 以上を考慮すると、クロス円については円高要素は増えつつありますが、日銀が動かなかった場合は再び円安圧力が強まっていく可能性が高そうです。政策金利決定会合を次週に控えている為、お決まりのリーク等、気をつける必要っがありそうです。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルでは5波動目の下落が来るか、或いは上昇転換するか見極めが必要。
・日足レベルではまだ上昇の範疇だが、下落転換の可能性も出て来ている。
・週足においてはプルバックからの上昇継続が続いているが、転換の可能性が出て来ている。
・中期的には下落のオッズの方が高いが、短期的には上昇する可能性もある。長期的にはまだ上昇。


 先週のドル円は週明けこそ下落しましたが、その後は上昇。結局、元の位置まで戻って来ています。


 4時間足においては下落トレンドが継続していましたが、最後は大きく上昇。今後は大きく分けて2つのパターンが考えられます。1つ目は、現在は下落4波動目であり、この後5波動目が始まるというパターンです。そのパターンの場合、現在の上昇4波動は3波動目に対して半値以上戻した為、そろそろ下落5波動目が始まると考えられます。2つ目のパターンは、日足レベルでの下落1波動目が終了し(4時間足レベルでは下落3波動で終了)、2波動目の上昇が始まるというパターンです。3波動目の高値:158.8円を超えた場合は、こちらのシナリオの確率が高まりそうです。いずれも長期的な上昇は終了し、長い目で見ると、これから本格的な下落が始まるというシナリオとなっています。個人的にはパターン1を信じ、まずは戻り高値を狙いたいと考えています。しかし、161.9円の高値を再び超えて行く、テクニカル無視の結局円安じゃんパターンも十二分に考えられる為、その点は注意しなければならないと考えています。




 日足レベルではまだ上昇の範疇ですが、久しぶりにMA100に到達したことで転換の可能性が生じています。結果、上記で述べたように様々なパターンが考えられるようになっている状況です。ここ最近はこういったシナリオが別れるというより、シナリオを描けない程の円安圧力だった為、この展開に懐かしさを覚えています(昨年末以来)。いずれにせよ日足的には下落1波動目の途中だと思いますが、この下落波動が続くのか?あるいは戻っていくのか?について、4時間足で見極める必要がありあそうです。日足レベルの3波動目は大きく伸びる為、仮に下落トレンドが継続した場合は、非常に大きな下落へと繋がる可能性がありそうです。




 週足的レベルでは、アセンディング突破後の上昇がまだ続いています。4月の為替介入時と同じく、この程度の下落はまだまだ気にするレベルではなく、上昇トレンドの範疇です。日足レベルで転換した場合は転換を意識して良いと思いますが、まだ先の話です。よって、長期的な流れはまだ上昇かなと考えています。




 昨年12月、今年の4月に続き、本当に久しぶりの本格的な下落の流れです。4月の為替介入時は一瞬で戻されてしまいました。果たしてこれが本格的なトレンドになるのかは分かりませんが、潮目になる可能性はありそうです。よって、ボラティリティが大きくなりそうですが、深追いはし過ぎず、確実に取って行った方が良いかもしれません。

 それでは今週もがんばりましょう!

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