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7/15週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・為替介入発動により、大きく円高に。
・日銀が動くかどうかで長期的なクロス円トレンドが変化する可能性。
・アメリカはCPIが下ぶれたことで長期金利が下落。
・ユーロは変化無し。
・金利面をクローズアップした場合、ファンダメンタルズ的には円高要素が揃いつつある。


 先週のドル円は順調な上昇を見せていましたが、木曜日にはまさかの為替介入。おそらく、金曜日の急落も介入だと思われますが、果たして流れは変わるでしょうか?


 先週のトピックは、やはり為替介入。今回の規模はこれまでと比較すると小規模なものだったようです。木曜日の介入は3.5兆円と推定されています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 昨年、投機筋による「なんちゃって介入」がありましたが、そういった介入は資金力に限りがある為、急激的に落とすことにより、他の投機筋やトレーダー、アルゴリズムを発動させて一気に動かした後、急激的に戻すのが特徴です。今回の動きは大きく動いた後、上昇の勢いを悉く潰していました。よって、見ていても介入だなとわかる動きでしたが、このタイミングでの実施は市場も完全に想定外だったのではないでしょうか。

 当ブログで何度も記載している通り、自民党は実質賃金の改善をアピールする為にも、少なくとも選挙まではこれ以上、円安になって欲しくないと考えている可能性が高いです。財務省及び、特に元安倍派は長期的な円安を望んでいる可能性が高いですが、やはり急激的な円安は各方面から非難を受けます。円安のそもそもの要因の一つは、金融緩和を継続し金利上昇を抑えていることです。ただ、財政の健全化を進める上で金融緩和は止めたくない、円安による物価上昇、大企業の増収によって税収を増やしたい、というのが本音でしょう。よって、今すぐに円安を抑える為には、もはや為替介入をするしかないといった状況だったと思われます。その為、CPIが悪化し、アメリカの利下げが見えたにも関わらず、全く円高に動かなかった時点で自然に円高に動いてくれることを諦め、介入に踏み切ったというところでしょう。

 イエレン長官からあれだけ釘を刺されている中で、まさか介入はしてこないだろうと市場の方々は鷹を括っていたと思われます。よって、この介入は無限に円安になり続けると考えていた市場に対する、大きな抑止力になり得ます。なぜなら、日本は円安を抑える為ならアメリカの牽制すら聞かずに躊躇なく介入をするという認識になる為です。日本政府としては、どうせバイデン政権は半年後にトランプ政権に変わるし、それ以前にこのまま自分たちが政権交代する羽目になればアメリカを気にする意味がない、と考えていたと思われます。

 さらに、金曜日にはユーロに対する為替レートチェックの発表、そして円安に動いたところで再度再介入(夜の下落は恐らく介入だと思われる)。もはやこれ以上の円安は許さない、という強い意思表示を市場に向けて発信している状況です。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 よって、もしかするとここで潮目が変わる可能性もあります。この後のテクニカルで説明しますが、週足レベルで続いていた一方的上昇トレンドのトレンドラインを初めて割りました。日足で見るとまだまだ上昇の範疇ではありますが、ここ数ヶ月で最も長期足のトレンド転換に近い位置に居ると思われます。

 ただし、円安の根本的な原因の一つとされる世界各国との金利差は依然として広いままでです。よって、次回日銀政策金利決定会合にて、日銀が動かない、或いは3月のマイナス金利解除の際のような変化量が小さすぎる、政策変更だった場合には、再び大きな円安トレンドが再開する可能性があります。しかし、もし日銀が「利上げ」「国債買入額の大幅な減額」を実施した場合は、キャリートレードにて利益を得られるメリットより、急激的に円が強くなることで損をするデメリットの方が上回る為、一気に流れが変わる可能性があります。今後の長期的な流れを決めて行く上でも、次回日銀政策金利決定会合における日銀の動きは重要であると考えています。


 アメリカでは、先週はCPIの発表がありました。結果は想定を下振れ、前年比でマイナス。この結果は9月の利下げを助長するものとなります。結果、アメリカ長期金利は下落している状況です。





 また大きなトピックとして、大統領選挙に向けた選挙集会中にトランプ氏が銃撃を受けました。しかし、命には別状はなく、逆に銃撃後にはガッツポーズをして見せており、この襲撃を上手く利用した感すらあります。この一連の出来事により、トランプ氏の次回大統領は固いものになったかなと考えています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 トランプ氏は低金利かつ、ドル安を好むと言われており、就任後は円高方向に動く可能性があります。しかし、インフレが収まりきっていない今の状況で、金利を大きく下げ、ドル安方向に持っていけるのかどうかは未知数です。よって、公約が見えていない今の段階では、為替への影響は未知数かなと考えています。よって、まずは週明けの動きを見る必要がありそうです。


 ユーロ圏においては、特に大きな指標は無し。長期金利もほぼほぼ横ばいの状況です。


   EU10年債 ※引用:楽天証券


 ユーロ圏におけるトピックとして、フランスにおける選挙にて結局左党が勝利したというニュースがありました。これにより、フランスのユーロ離脱確率はほぼ無くなったも同然です。よって、この事案による金利変動及び、為替変動は見られなさそうです。今週は政策金利発表がありますが、恐らく現状維持でしょうし、サプライズがない限り無風で終わる可能性が高そうです。


 纏めると、日本はまさかのタイミングで為替介入を実施しました。今回は小規模×複数回で下落の流れを作ろうとしている感じを受けます。次回政策金利決定会合にて、利上げか国債買入額を大幅に減額すれば円安の流れを変えることが出来そうですが、日銀が動くかどうかは蓋を開けてみるまで分かりません(動いたけど実質何も変わってないじゃん、みたいなパターンもある)。アメリカはCPIの結果を受けて長期金利が下落。利下げが見え始めています。

 以上を考慮すると、クロス円については徐々に逆方向へと動き始める気配を感じます。ただし、流れが変わったと明言できる状況でもありません。よって、今週からは流れの探り合い(動きが読みづらい展開)になる可能性がありそうです。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルではトレンド転換。
・日足レベルではまだ上昇の範疇だが、下落転換の可能性も出て来ている。
・週足においてはプルバックからの上昇継続。
・テクニカル的には上昇の可能性が高そう。


 先週のドル円は為替介入で下落。長期的な上昇トレンドに抗い始めている状況です。


 4時間足においては一気に下落トレンドに。ただ、MA100との乖離が大きくなっている為、これ以上の強い円高要素が出てこない限り、このまま下げ続ける展開にはなり辛いのかなと考えています。よって、一旦上昇方向へと動く可能性が比較的高いのかなと考えています。しかし、テクニカル的には下落トレンド狙い。上昇を取りに行くより、戻り高値を狙うべき展開かなと考えています。と言いながら、結局上昇し続ける展開が1年以上続いていますが。。。




 日足レベルではまだ上昇の範疇。しかし、週末に上昇トレンドのトレンドラインを割って引けたことで、トレンド転換への第一歩を歩み始めたかなという状況です。ここから押し目になり、更なる上昇を始めるのか、或いはMAを割り下落トレンドになるのか、はまだ分かりません。その辺りは日銀政策金利決定会合も絡んでくると思います。ここで日足レベルで転換するかどうかが、今後の長期的な流れにつながって行く可能性が高そうです。




 週足的レベルでは、アセンディング突破後の上昇がまだ続いています。4月の為替介入時と同じく、この程度の下落はまだまだ気にするレベルではなく、上昇トレンドの範疇です。日足レベルで転換した場合は転換を意識して良いと思いますが、まだまだ先の話です。よって、長期的な流れはまだ上昇かなと考えています。




 昨年12月、今年の4月に続き、本当に久しぶりの本格的な下落の流れです。4月の為替介入時は一瞬で戻されてしまいました。果たしてこれが本格的なトレンドになるのかは分かりませんが、潮目になる可能性はありそうです。よって、ボラティリティが大きくなりそうですが、深追いはし過ぎず、確実に取って行った方が良いかもしれません。

 それでは今週もがんばりましょう!

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