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5/20週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・日銀が国債買い入れを減額したが、1日だけで終了。
・まだ大きく円高になる要素はない。
・アメリカはCPI悪化により、長期金利が下落。しかし、中国が米国債を売っており、長期金利が上昇している。
・ユーロは6月利下げが視野に。
・クロス円通貨は円安ピーク(ドル円における160円)を超えた可能性もある。


 先週のドル円はCPI前後で円高方向に動いたものの、すぐに元通りに。特にドル円以外のクロス円通貨は更に円安が進んでいる状況です。


 先週は日本発の大きなトピックはありませんが、やはり止まらない円安、といった状況です。日銀が国債買い入れ額の減額を発表したこと、そしてアメリカCPIが前月比で下落したことを受け一時的にドル円は下落しました。しかし、翌々日に国債買い入れ額の据え置きを発表させたことで、日銀はまだ金融政策を修正しないだろうという思惑が広がり、失望の円売りへと繋がりました。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 この円安の動きに対して投機的と言った意見も聞かれますが、大局で見れば、まだ円高の状態なのかなと考えています。異次元の緩和を始めて10年が経過していますが、2年前までは大きく円安になっていませんでした。それは円の安全神話、日本経済に対する海外からのリスペクトがあったからだと考えています。しかし、ここ最近はそういった考え方が変わってきているように感じます。個人的にはここ最近の円安は、過去10年間で本来円安になるはずだった分を織り込んでいっている状況だと考えています。よって、国債買い入れ金額の多少の減額程度でトレンドが変わるとは思えません。

 主要各国の利下げが近づいて来ている状況ではありますが、全く円高方向に動く気配がないあたり、やはり現在の長期目線でのトレンドは変わらないと思われます。各国の利下げが始まれば、円安圧力に対する抑止力は働くと思われます。しかし、それでも金利差は以前として大きく開いたままですので、その差が小さくなっていくまでの間は長期的円安トレンドの流れは変わらないと考えています。ただし、トランプ氏が大統領に就任し、日本に対して圧をかけ、日銀が金融政策を大きく変える場合は流れが変わる可能性があると考えています。


 アメリカについては先週PPI、CPI、小売売上高の発表がありました。最も注目されていたCPIについては、想定通り前月比、前月同年比で下落。小売売上高も下落傾向となっており、遠のきかけていた利下げ時期が近づいて来ている状況です。



 結果、長期金利は大きく下落しました。しかし、週末にかけて上昇。この上昇については、アメリカが中国EVに対して関税をかけるいった報道に対する報復の米国債売りが主要因と言われています。中国は今年に入ってから米国債売りを続けており、新たな摩擦が生じている状況です。



   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 利下げ時期については、優良な候補は9月と言われています。CPIが落ちて来たことでこの利下げ時期の想定は、遠のかなかった、と考えています。もっと悪い状況、つまり利下げが年末までずれ込む可能性を相場は織り込んでいたと思われますので、CPIは想定通りの結果でしたが、長期金利は安堵の下落を見せました。6月の雇用統計、CPIがよほど下振れない限り7月の利下げは考え辛いため、ここからCPIの下落傾向が続いた場合、9月には利下げ可能な状況が整っているのではないかと、個人的には想定しています。


 ユーロにおいては特に何もトピックはありませんでした。しかし、長期金利は微妙な上昇を見せています。


   EU10年債 ※引用:楽天証券



 これはECBの専務理事が「6月は利下げの可能性があるが、その後の利下げに対しては慎重に」と、連続した利下げに対して慎重な姿勢を示したことが要因と考えています。しかし、形的には為替でよく見られるトレンド転換一歩手前、のように見受けられます。よって、仮に6月に利下げする場合は、市場はその後の利下げを先行して織り込み、金利の下落が見られると考えています。


 纏めると、日銀がスタンスを変化させないことで、円安の流れを助長させている状況です。アメリカについては、CPIが下落しましたので、利下げ時期が遠のく状況にはならなかったと考えています。ユーロ圏においては6月利下げが有力視されていますが、その後の利下げについては不透明な状況です。

 以上を考慮すると、ファンダメンタルズ面においては円高になりそうな要素は揃いつつあります。しかし、今はまだ円高になる理由がありませんので、ファンダメンタルズ的には円安が続きやすい展開になりそうです。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルでは下落も上昇もどちらも考えられる展開。
・日足においては4波動目継続か、あるいは終了といった状況。
・週足においてはプルバックしているように見える(上昇波動継続?)。
・テクニカル的には長期足は上昇だが、短期足では下落の可能性あり。


 先週のドル円は再び156円を突破。CPI等の影響を受け、一時的に153円台まで下落しましたが、また156円あたりまで戻っている状況です。


 4時間足においては、上昇3波動目にも見えますし、下落の1波動目が終了し、2波動目の最中にいるようにも見えます。仮に153円から156円までの上昇を2波動目と捉えるのであれば、ここから大きめの下落が見られる可能性があります。その辺りは結果論になりますので、動いた方向に着いていく必要がありそうです。




 日足レベルでは雇用統計後の上昇を下落トレンドの2波動目と捉えた方が良いかもしれません。その場合、151.8円を下回るような下落が見られる可能性があります。もっと広義で見れば、現在は4波動目だと思われますので、長い目で見れば上昇トレンド継続の可能性が高そうです。




 週足的レベルでは、アセンディング突破後、プルバックが入っている状況。短期足でよく見られる展開として、プルバック後に更なる大きな上昇が見られることがあります。テクニカル的にはまだあと10円以上の上昇が見込まれる状況なので、基本的には上昇トレンドが続く可能性が高いのかなと考えています。




 介入によって大きな下落が見られたものの、テクニカル的には長期足はまだまだ上昇の範疇です。ただし、比較的短期足を見ると、目まぐるしくトレンドが入れ替わっていますので、長期トレンドは一旦無視して、4時間足レベルの流れに着いていくと、今はやりやすいのかなと考えています。

 それでは今週もがんばりましょう!

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