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5/13週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・円安が進行した場合、為替介入が再度実施される可能性が高い。
・ここから更なる円高になるかはアメリカの経済指標次第。
・アメリカの長期金利はCPI次第。
・イギリスは6月利下げが視野に。
・アメリカ次第では、クロス円通貨は円安ピークを超えた可能性。


 先週のドル円はリバウンド円安。152円を割った金曜日の下落から一転、既にそこから約4円も戻してきている状況です。


 先週は日本発の大きなトピックはありませんが、取り敢えず何を言っても円安になり続ける展開でした。雇用統計の結果も悪ぶれましたし、ここまで一気に戻るというのは政府関係者としては予想外だったと思います。この円安の影響が物価にオンされるのはまだ数ヶ月先の話だと思います。しかし、先週発表の3月実質賃金においては、既に1月以降の円安影響を受けてマイナス幅が広がるという結果になりました。実質賃金のマイナス幅は想定を大きく下回りました。まだ賃上げが反映されていない結果だと思われますが、この結果は企業が円安による原材料のコストアップを価格に転換していることを意味します。

   ※引用:日本経済新聞(画像クリックで記事にアクセス)



 年明け時点における、企業の今年度の為替想定は130~140円程度でした。今年はアメリカが利下げをすることで円高に動くという予想が強く、また既に140円まで円高に動いていたドル円を見れば、妥当な予想だったと考えられます。しかし、5月現在時点で160円に近付かんとしている状況であり、当初の為替の想定を大きく修正せざる得ない状況だと思われます。この15~20円の誤差は非常に大きく、購買からすると仕入れ先の為替を理由としたコストアップは受け入れなければなりませんし、それを受けて販売価格も上げざるを得ません。まだ全企業がこの円安を織り込み切ってはいないと思われますが、いずれ価格に仕入れ価格の上昇分を織り込んでいくかと思われます。そうなれば、自民党が掲げる実質賃金のプラス転換、という目標を果たすことが出来なくなる可能性があります。

 やはり自民党としてはより一層の日経平均株価の上昇や、政府財政の健全化を進めていく為にも、大幅な円高は望んでおらず、じわじわとした円安を望んでいると思われます。一方、実質賃金のプラス転換を実現させる為、これ以上急激的な円安進行を看過することもできない状況だと思われます。他国の情勢が絡む為替をコントロールすることは非常に難しいと思われますが、これ以上の円安は今後の選挙にも響いてくる為、このまま円安が進行し続けた場合は再び為替介入を実施する可能性が高いと考えています。

 また、為替介入及び、アメリカ雇用統計の悪化を受けてもなお止まらない予想外の円安を受け、流石の日銀も意見を変えました。日銀政策金利決定会合の際は、円安は物価にそこまで影響を与えていないといったスタンスでしたが、先日は「円安が物価に与えるリスクを意識する必要」、と変えています。また、「物価の上振れリスクが大きくなれば早めに金利を上げる」とも発言しており、岸田首相との会談後は明らかに円安を意識した発言が増えています。

   ※引用:NHK(画像クリックで記事にアクセス)



   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 しかし、日銀の金融政策が変わったわけではありませんし、市場には、どうせ何も変えないでしょ?と思われている可能性が高いです。よって円高トレンドになるかどうかは、海外の利下げ動向、特にアメリカ次第になると思われます。仮に雇用統計に続いてCPIが下ぶれた場合、円高が進行する可能性もあります。しかし、上振れた場合は円高になる理由がありませんので、再び160円を目指して上昇を開始すると考えています。


 アメリカについては大きな経済発表等、為替インパクトのある材料は無し。長期金利も1週間でほぼ変動無しでした。次週は今後の利下げ時期を探る上で最も重要な材料であるCPIの発表がありますので、長期金利動向は発表待ちとなり、動きが鈍くなる可能性がありそうです。



 また、日本の為替介入に対しイエレン長官は「まれであるべき」というコメントを続けています。日本側からするとどちらかと言うとネガティブなコメントに聞こえますが、尻に火がついた自民党からしたら、その程度のコメントを気にしている場合ではないでしょう。よって、為替介入への抑止力にはなり得ないと考えています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 ユーロにおいては特に何もトピックはありませんでした。イギリスにおいては政策金利発表及び、GDP発表がありました。



   EU10年債 ※引用:楽天証券



 長期金利においては据え置きとなりましたが、利下げを指示するメンバーが2人増え、利下げに対する機運が高まりつつあります。逆にGDPの結果は想定を上ぶれましたので、経済悪化を理由に緊急利下げするような事態にはなり辛いと思われます。しかし、その他の経済指標次第では6月での利下げも現実味を帯びてきているかもしれません。ユーロと併せて6月利下げとなった場合は、急激的に金利が下落していく可能性もありますので、要注目かなと考えています。


 纏めると、自民党はこれ以上の円安になって欲しくないと考えている可能性が高い為、今後円安が進行した場合、再度介入が実施される可能性がありそうです。また、日銀は政策金利決定会合時から大きくスタンスを変えましたが、為替動向には影響を及ぼしていません。アメリカについては特にトピックはなく、CPI待ちと思われます。イギリスについては6月利下げの可能性もありそうです。

 以上を考慮すると、ファンダメンタルズ面においては円高になりそうな要素は揃いつつあります。しかし、今はまだ円高になる理由がありませんので、ファンダメンタルズ的には円安が続きやすい展開になりそうです。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルでは3波動で終了し、上昇波動が開始された可能性。
・日足においては4波動目の調整が終了し、5波動目が開始される可能性。
・週足においてはプルバックしているように見える(上昇波動継続?)。
・テクニカル的には上昇一択。


 先週のドル円は再び156円あたりまで上昇。先々週の雇用統計後の急騰は、やはり3波動目のセリングクライマックスだった可能性が高そうです。


 4時間足においては、5波動目を期待しながらも3波動で下落が終了するといった、昨年から続くいつものパターンになりそうです。その場合、押しはそこそこで再び上昇を始めると思われます。形的には1波動目が終了し、調整のフェーズのように見えます。よって、ここで下落しない場合はそのまま大きな上昇に繋がる可能性が高そうです。




 日足レベルではもう4波動目の調整は終わり?といった展開。上昇トレンドの最中である為、まだ上昇が続く可能性が高そうですが、さすがに上昇を開始するには早いような感じがします。もう一回下げてから2点底を形成し、上昇するパターンを短期足ではよく見ます。しかし、ファンダメンタルズ次第では調整はそこそこに、早くも上昇していく可能性もあるかもしれません。その場合は160円を超えていく波動になるかと思われます。




 週足的レベルでは、アセンディング突破後、プルバックが入っている状況。短期足でよく見られる展開として、プルバック後に更なる大きな上昇が見られることがあります。テクニカル的にはまだあと10円以上の上昇が見込まれる状況なので、基本的には上昇トレンドが続く可能性が高いのかなと考えています。




 介入によって大きな下落が見られたものの、テクニカル的にはまだまだ上昇の範疇です。個人的には上昇トレンドへと転換するところを狙っていきたいと考えています。

 それでは今週もがんばりましょう!

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