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5/6週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・ドル円は160円を突破したが、為替介入によって152円台まで下落。
・ここから更なる円高になるかはアメリカの経済指標次第。
・アメリカは雇用統計の急激的な悪化によって、利下げ時期の前倒し(7月)が視野に。
・ユーロにおいては、依然6月利下げ論が有力のまま。
・アメリカ次第では、クロス円通貨は円安ピークを超えた可能性。


 先週のドル円は160円越え後に為替介入が入り大きく下落。FOMC後に再度為替介入があり、一時的に152円を下回るところまで下落しました。


 先週はとうとう為替介入が発動。為替は朝から激しい変動をしており、158円から160円までは数秒で上昇する展開でした。流れ的には以前の為替介入時と似た展開。為替介入を警戒、或いは期待する相場感が続いていました。しかし、その警戒感が解かれ、急激的な円安状況になったところで為替介入発動。一気に下げると買い場を提供するだけなので、逆張りロングを入れるトレーダーの損切りを巻き込む形でゆっくりと下げていきました。1回目の介入金額はおよそ5.5兆円と言われています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 そして、木曜日の明け方に再度為替介入。おそらく、ある程度円安方向に戻してきていた場合、FOMC後に再介入を実施すると決めていたと思われます。再び円安の流れを作られ160円付近まで戻った場合、再介入を実施したとしても155円あたりまでしか戻せないでしょう。おまけに160円あたりの介入ラインまでは安全(介入が来ないという予想)とみなされでしょうし、今度は介入ラインでの攻防が始まってしまう可能性があります。その為、上昇の流れが作られきる前、しかも深夜で商いが薄くなっている時間帯にもう一発入れ、下落の流れを作っておきたかったのだと考えられます。2回目の介入金額はおよそ3.5兆円と言われています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 一部報道では、介入に使用できる金額はおおよそ20兆円と言われており、もしその試算が正しい場合は、あと10兆円分の介入が可能と考えられます。この2度の介入によって財務省の本気度がわかったことで、投機筋としてはこれまでのような円売りはし辛い展開になったと思われます。加えて雇用統計の結果が下ぶれたことで、一気に円高への機運が高まっています。

 しかし、もっと前に介入をした方が効果的だったのでは?という声も多いです。もちろん、今回の介入においては急激的な円安進行が見られたという理由もあると思いますが、このタイミングで財務省が本気で介入をした理由の一つに、直近の選挙における自民党の惨敗があると考えています。企業の今年度の為替想定は130~140円となっており、これ以上円安が進行した場合、為替想定を円安方向に変更しなければなりません(為替を理由にサプライヤーの値上げを許容)。その場合は販売価格に仕入価格の上昇分をオンする必要がありますので、所謂、第一の力が上ぶれることで急激的な物価上昇が考えられます。春の賃上げ及び、6月の減税(?)にて、実質賃金の上振れをアピールしていきたい自民党としては、これ以上の物価高を容認することはできません。よって、現段階においてはこれ以上の円安は許さないという意思表示を見せたのだと考えています。

 しかし、日銀の金融政策が変わったわけではありません。よって円高トレンドになるかどうかは、海外の利下げ動向、特にアメリカ次第になると思われます。仮に雇用統計に続いてCPIが下ぶれた場合、さらに円高が進行する可能性もあります。しかし、上振れた場合は円高になる理由がありませんので、再び160円を目指して上昇を開始すると考えています。


 そのアメリカについてですが、FOMCについては現状維持。そして、雇用統計は想定を大きく下回る結果となりました。特に雇用が急激的に悪化しており、この結果はアメリカ経済の急減速を表しています。



   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 この結果によって、利下げ予想が早まりました。先月の雇用統計後は9月利下げ説が有力でしたが、7月利下げもあり得るのでは?といった憶測も広がっています。よって、アメリカ長期金利は4.65%から4.50%にまで下落。ドル売り、円買い要因を作っています。



   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 個人的には、ここまで急減速すると、数字を弄っているのでは?と勘ぐりたくなります。ただ、パウエル議長は直前のFOMCにて、利下げにおいては雇用の状況を重視すると発言しています。よって、この結果は利下げ時期を早める可能性があります。今後発表されるCPIが上振れた場合は再び長期金利が上昇する可能性が高いですが、今回の雇用統計の結果を見る限り、CPIも下振れる可能性が高そうです。よって、ドル円においてはもしかするとここから円高トレンドが作られるかもしれません。


 ユーロにおいては、HICP及び、GDPの発表がありました。結果はほぼほぼ想定通りでしたが、GDPが若干上ぶれる展開に。その結果を受け、一時的に長期金利は上昇しましたが、その後はアメリカの長期金利下落の影響を受け、ユーロにおいても下落が見られました。



   EU10年債 ※引用:楽天証券



 利下げにおいて重要な指標の一つであるHICPですが、コア指数が前年度比で下落。6月利下げを確固たるものにしたとは言い難い結果ではありますが、アメリカのように利下げが遠い彼方へと消えていくような結果でもありません。あとはその他の指標次第になると思われますが、ここからの1ヶ月は市場の思惑によって長期金利は動いていくと思われます。6月利下げが有力視されており市場はそれを織り込んでいますが、利下げが確定したといった報道があれば、そこからはさらにその先の利下げを織り込み、長期金利は下落すると思われます。よって、ユーロ円においては徐々に下落していく展開になる可能性が高そうです。


 纏めると、先週は2回の為替介入によって円安の流れが途切れました。しかし、金融政策は変わっていない為、円高になるかどうかはアメリカの利下げ次第になります。そのアメリカは雇用統計が下振れたことで利下げ時期が早まる可能性があります。

 以上を考慮すると、ファンダメンタルズ面においては今後のアメリカの経済指標次第になりそうです。雇用統計に準ずる結果が出た場合は円高になる可能性が高いですが、万一CPIが上振れた場合は円安傾向が強まると思われます。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルでは下落トレンド入りしているが、今後の下落波動の継続有無は長期足次第。
・日足においては押し目までの下落中に見える(上昇波動継続?)。
・週足においてはプルバックしているように見える(上昇波動継続?)。
・テクニカル的には上昇一択。


 先週のドル円は160円まで上昇。介入が入ったことで一時的に152円あたりまで下落しました。


 4時間足においては、急激的下落によってトレンド転換。4時間足だけを見ると、現在は3波動が終了し、戻り高値を形成している途中に見えます。SMA100も転換していますし、テクニカルで言えば、5波動目の下落が見られてもおかしくありません。しかし、上位足においては上昇トレンドの最中ということで、3波動で修正波となる可能性もあります。よって、今後下落するかどうかは、上位足トレンドにおける転換が見られるかが鍵になりそうです。




 日足レベルでは3波動目が終了したという状況。152円のサポートラインで反発したことで、ここから上昇していく展開が想定されます。最近はファンダメンタルズ面によって乱高下させられていますが、テクニカルで見れば、今後は上昇トレンドが始まる展開のように見えます。これまでの波動の長さを考慮すると、押し目からの上昇が始まるまでもう少しまごつく可能性もありますが、4時間足レベルで上昇トレンドへと転換した場合、高値:160円を超えていく展開になると思われます。




 週足的レベルでは、アセンディング突破後、プルバックが入っている状況。短期足でよく見られる展開として、プルバック後に更なる大きな上昇が見られることがあります。テクニカル的にはまだあと10円以上の上昇が見込まれる状況なので、基本的には上昇トレンドが続く可能性が高いのかなと考えています。




 介入によって大きな下落が見られたものの、テクニカル的にはまだまだ上昇の範疇です。個人的には上昇トレンドへと転換するところを狙っていきたいと考えています。

 それでは今週もがんばりましょう!

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