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4/8週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・日本政府は152円超えを防ぐために強い圧力をかけている。
・ただし、日本政府は円安にも円高にもなって欲しくないと考えている可能性が高い。
・アメリカは雇用統計の雇用が上振れたが、平均時給は下振れ。次のCPIが重要。
・EUはHICPIが下落したことで、6月利下げが視野に。しかし、市場は織り込み済み。
・クロス円通貨は介入及び、口先介入に注意。


 先週のドル円も膠着。岸田総理含め、毎日botの如く同じ内容の口先介入を繰り返していますが、その甲斐あってか152円を超えずに止まっています。


 先週は日本関連の主なトピックはありません。動きも151円後半でずっと止まっており、ここまで膠着するのは久々かもしれません。主な理由は、日銀はこれ以上利上げをしないだろうと思われていること(円安要素)、それに対し政府が口先介入を繰り返していることです(円安牽制)。

 日銀は今後利上げの可能性があると、円安に歯止めをかけるような発言をしていますが、全く効果が得られていない状況です。半年前までであれば海外勢が反応していた可能性もありますが、さすがに理解してきたようです。よほど日本のインフレが進むか、或いはよほど円安が進むかしない限り、日銀は利上げしない可能性が極めて高いです。よって、海外勢からしても円を買い戻す要素が無いのが現状です。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 また、先週触れたように、政府としては選挙が視野に入っていると思われます。これ以上の円安は第一の力を強めることになります。結果として物価高の傾向が高まり、賃上げによる実質賃金のプラス転換を実現できなくなる可能性があります。よって、今はこれ以上の円安は防ぎたいと考えている可能性が高いです。一方、大幅な円高は、円安によって上昇している株価の上昇機運に対して冷や水を浴びせる格好になります。新NISAと株高は政府の最大の功績である為、選挙までは株高の状態を維持したいと思われます。よって、円高にもなって欲しくないはずです。

 ただし、為替は金利や株価のように簡単にコントロールができません。なぜなら、他国が絡むからです。この為替の膠着が政府にとっては心地良い状況なのは間違いないと思いますが、パワーを溜め込んだ分、後々大きく動くのが為替です。152円を本格的に超えるか、或いはアメリカのCPIが大きく下落するかした時、コントロール不能な状況に陥ると考えています。よって、その大きな動きが出た時が狙い目になると考えています。


 アメリカにおいては、先週は材料ラッシュ。しかし、軒並み想定を上振れており、アメリカ経済の強さが窺えます。結果として長期金利も上昇をしています。





   EU10年債 ※引用:Nikkei225.jp




 しかし、個人的に注目しているのは雇用統計の結果。雇用者数は上振れていますが、平均時給は下落傾向が続いています。つまり、インフレは着実に鈍化してきていると言えます。雇用者数に関しては、発表後に毎度下方修正をしていますし、何より想定を低めに設定している可能性が高いです。想定を大きく上振れたと発表することで、株価の引き上げを目論んでいるのかもしれませんが、個人的にはここ最近の雇用者数の結果は、あまり意味がないものだと考えています。よって、重要なのはCPIに直結する平均時給が下落トレンドになっているということだと考えています。

 平均時給が下落トレンドに入っているということは、今後CPIの方も下落トレンド入りする可能性が高いです。そのCPIの結果は今週発表がありますが、そこでCPIが下落していた場合、6月における利下げ確率が上昇します。最近の指標発表を受け、6月の利下げ確率が下がったという報道もありましたが、個人的には逆に利下げ確率は日上昇しているのではないかなと考えています。いずれにせよ重要なことはCPIの下落トレンド入りなので、4月、5月発表の結果が順調に下落していくかに注目かなと考えています。ただ、仮にその結果が上振れ、利下げ時期の後ろ倒しが現実となった場合、更なる円安が待っていると思われます。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)




 ユーロにおいては、利下げに対して重要な影響を持つHICPの発表がありました。その結果は下落。いよいよ6月の利下げが視野にはいってきたのかなという結果となりました。しかし、長期金利は大きく下落せず、ほぼ横ばい。これは市場が既に6月の利下げを織り込んでいることを意味します。


   EU10年債 ※引用:楽天証券



 ラガルド総裁は利下げ時期について、あくまで慎重姿勢を貫いていますが、視野に入ってきているとも発言しています。現段階で明確な時期を発言することは出来ないと思いますが、このまま物価上昇率が下落を続けた場合、6月の利下げはかなり高確率で実現すると思われます。よって、6月利下げへの期待が高い分、逆に経済指標が上振れ始めた場合は大きく金利が上昇するのだと思われます。ただ、そういった兆候が見られなければ、今後の長期金利は穏やかに下落していく可能性が高いのかなと考えています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)




 纏めると、政府・日銀はこれ以上の円安は現状、求めていなさそうです。一方、円高にも動いてほしく無いと考えている可能性があります。よって、円安になれば口先介入で牽制を、ある程度円高に動けば数兆円規模の緩和及び、粘り緩和等のワードで円高を牽制する可能性がありそうです。アメリカは雇用統計をはじめとした経済指標が上振れていますが、平均時給が落ちている為、インフレ率は低下してきている可能性が高いです。CPIの結果次第では大きく金利が動き、ドル円においても強い影響を与えそうです。EUにおいてはHIPCIが下落したことで、6月における利下げへの期待感が増している状況です。

 以上を考慮すると、現状、日本と海外諸国との金利差は縮まらないとの予想から、大きく円高方向に動く可能性は低そうです。しかし、口先介入等で円安を強く牽制している為、それ以上の円安にはならず152円付近で攻防が繰り広げられています。よって、ここを超えるのか?或いは152円越えを求めているトレーダーが根負けして一旦、円高になるのかに注目です。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルは押し目から上昇の形だが、152円及び、介入の壁がある。
・日足レベルは3波動目なのであれば、まだ上昇の余地あり。
・週足はヘッドアンドショルダーをどちらに抜けるかが重要。
・152円を突破するかどうかが鍵。


 先週のドル円は全く動きなし。口先介入の影響もあり、152円手前で足踏みしています。


 4時間足においては、完全なるレンジ状態。テクニカルで言えば、ここを上に抜ければ強い上昇トレンドの開始、逆に下抜ければ下落トレンド開始となります。しかし、強い円安圧によって下落してもすぐに戻ってくる可能性がありますし、逆に上抜けても介入が待っている可能性が高いです。よって、テクニカル通りに動かない可能性もあるので要注意です。




 日足レベルでは、3波動目の上昇中。現在は3波動目の途中であり、やはりこちらも上昇波動を狙っていくべき場面ではありますが、152円で止められているのが現状です。形だけを見ると上昇トレンド真っ最中なので、やはり下落は入りづらい場面、ただこれ以上のロングは怖い、という雰囲気だと思われます。ただし、あくまでテクニカル的には上昇トレンドであるため、ロングを入れるべき場面だと考えています。




 週足的レベルでは、いよいよアセンディングトライアングルの上抜けか?といった状況です。ここを上抜けた場合は、テクニカル的には160円を超える上昇になる可能性があります。もちろん、政府が歯止めをかけようとするでしょうが、テクニカル的にはここを超えるかどうかが大きな局面だと考えています。




 テクニカル的に、ドル円はここから大きな上昇へとつながるかどうかの瀬戸際かと思います。ファンダメンタルズ的には円高方向への風が吹き始めていますが、為替は円安トレンドが続いています。テクニカル的には152円を超えてそのまま上昇を続けるかが重要だと思いますので、まずはそこを超えて上昇を続けるかを見極める必要がありそうです。

 それでは今週もがんばりましょう!

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