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3/18週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・日銀は今回会合にてマイナス金利解除の可能性大。
・YCCも枠組み変更との報道があるが、国債買い入れ等、現状と大きく変化は無さそう。
・為替はマイナス金利解除を織り込んでいる為、重要なのはその後の利上げの有無。
・アメリカはCPIの結果がほぼ横ばいの為、早期利下げ論が後退し、長期金利上昇。
・FOMCは無風の可能性がありそうなので、日銀の追加利上げ有無の可能性が為替動向に左右しそう。


 先週のクロス円通貨は前週とは逆の動きに。特徴的だったのは週後半の上昇。マイナス金利解除の報道が出る度に円が売られる展開となり、クロス円通貨は上昇(円安)となりました。


 日本においては、日銀が来週の会合にてマイナス金利を解除するのではないかという期待が高まっています。まるで今回会合でのマイナス金利解除が既定路線であるかのような報道も出て来ており、サプライズを好む黒田下総裁とは逆に、植田総裁はリークしサプライズを無くしていく狙いがあるのかもしれません。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 これまで何度か記載してきた通り、個人的にはマイナス金利解除は既定路線であるものの、実行は大企業の春闘の結果が大方出揃う4月が有力と想定していました。しかし、先週の報道を見る限りでは今回の3月会合で実行に移す可能性が高い気がします。解除する上で重要な理由となる春闘に関しては、現状の観測で賃上げ率:5.28%との報道が出ており、恐らく日銀が事前に想定していた賃上げ率を上回る結果なのではないかと推察します。よって、来年度の物価見通しも目標としている2.0%を超過する可能性が高まったでしょうし、日銀としては十分な根拠を持ってマイナス金利解除に踏み込むことが可能と考えます。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 ただ、為替の反応を見る限り、市場はすでに織り込み済みの雰囲気があります。特に金曜日の夜にはマイナス金利解除が報道された際、急激的に円が売られました。これはマイナス金利解除については、もはや市場は興味を持っておらず、その後の利上げ有無や、YCCに関する政策修正に関心があるということを意味します。

 よって、今回焦点になるのはマイナス金利解除の有無に加え、その他に何か政策修正を施すのか?だと考えます。まずマイナス金利解除ですが、こちらは高確率で実施されると思われます。よって、これ自体が大きく為替に対して影響を施す要因にはなり得ないと考えます。むしろ、ここまで期待させておいて解除しなかった場合は、相当な円安インパクトになり得るでしょう。

 次にその他の政策修正の有無ですが、YCCの新しい枠組みの検討、或いは撤廃といった報道もありますし、マイナス金利解除後に年内に追加で利上げをするといった報道も見られます。こちらは様々な報道のされ方をされている為、不確定要素の多いグレーゾーンだと考えます。よって、為替変動要因はこちらにあります。個人的にはYCCは撤廃するものの、緩和を継続することで長短金利をコントロールし、これまでとそこまで変わらない運営を続けていくのではないかと考えています。また、マイナス金利解除後の利上げについては、空気感(市場だけでなく政府等も)を見ながら可能であれば実施する、といった具合になるのではないかと想定していますが、そこについてはぼかして話をされると思われます。よって、為替変動要因となり得る重要なポイントは、今回会合でのマイナス金利解除有無ではなく、今後の利上げの可能性(政策修正含めた展開)についてどの程度踏み込むのか?記者が踏み込めるのか?だと考えています。


 アメリカにおいてはCPI、PPI、小売売上高の発表がありました。強弱入り混じる内容でしたが、若干想定を上振れ。インフレ減速と言えるような結果ではありませんでした。



   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 この結果を受け、利下げはまだ先だなという認識となりアメリカの長期金利は上昇。気がつけば4.3%まで戻って来ている状況です。年内の利下げ回数:3回という想定に変化は無いものの、想定されている夏頃の利下げ予想を早める展開にはなっておらず、長期金利も雇用統計前の地点まで戻って来ている状況です。



 アメリカも政策金利発表を控えていますが、現状の経済指標を見る限り、今回も据え置きだと思われます。その決定に異を唱える人も居ないでしょう。会見において具体的な利下げ時期に言及するようなサプライズが出てこない限り、今回はほぼ無風になるのではないでしょうか。よって、重要になるのは今後の経済指標、特にCPIだと思われます。CPIにて明確な減速傾向が見られない限り、利下げはあり得ないと思われます。よって、次の発表までの一ヶ月間は早期利下げ論も盛り上げり辛いでしょうし、米長期金利も大きな変動が生じ辛い展開になるかもしれません。よって、アメリカ由来で円高方向に為替を動かす要因は暫くは生じ辛いかもしれません。


 ユーロ、イギリスにおいては重要経済指標の発表は無し。大きなトピックがありませんでした。しかし、長期金利は若干上昇。現状の利下げ論を揺るがす材料が無い為、良くも悪くも高止まり状態で安定しているのだと思われます。


   ユーロ10年債 ※引用:楽天証券




   イギリス10年債 ※引用:楽天証券



 今週はイギリスで長期金利に関わるCPIの発表、そしてユーロ圏ではPMIラッシュが待っている為、想定を下回るような結果が生じた場合は長期金利の下落及び、ユーロ、ポンドが売られやすい展開になるかもしれません。


 纏めると、日本においては今週の会合にて、マイナス金利が解除される可能性が高そうです。ただ、そういった報道をされても円が売られる展開になっているたり、市場はすでに織り込み済みと思われます。よって、重要なことはマイナス金利解除後の追加利上げの実施有無、になるかと思われます。追加利上げの見込みがある場合は円が買われますが、逆にYCCは解除するものの現状と何も変わらない場合は円が売られる展開に変化は生じなさそうです。アメリカにおいてはCPIの明確な減速傾向が見られず、早期利下げに関する期待値が下がり、長期金利が上昇しました。FOMCにおいてもサプライズが生じる可能性は低く、大きな為替変動要因は作らないかもしれません。ユーロ、イギリスにおいては今週の材料ラッシュに要注目です。

 以上を考慮すると、日銀の出方次第では日本と海外との金利差が縮まり、円が買われる展開になる可能性があります。しかし、ただマイナス金利を解除して終わるだけの場合は円が売られる展開が続行する可能性が高そうです。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルは戻り高値からの下落を狙いたいが、一方、このまま上昇する可能性も。
・日足レベルはヘッドアンドショルダーとなり下落する可能性があるが、そのまま上昇する可能性も。
・週足はヘッドアンドショルダーをどちらに抜けるかが重要。
・日銀政策金利決定会合における動きがカギになる可能性。


 先週のドル円は一方的な上昇。特に顕著だったのはマイナス金利解除報道後の上昇。なかなか分かりやすい展開になってくれない1週間でした。


 4時間足においては、大きな下落から一転、大きく上昇。4時間足レベルで転換していますし、この上昇は戻りと考え、戻り高値からのショートを狙いにいく展開かと思います。しかし、この急な戻り方は昨年よく見た上昇回帰の流れ。テクニカル的には戻り高値を狙っていくべきだと思いますが、日銀政策金利決定会合次第ではそのまま上昇回帰し、上位足の上昇トレンドに迎合していく可能性があります。よって、今週は政策金利決定会合後の流れに従うべきかなと考えています。




 日足レベルでは、下落トレンド入りする可能性がある形もしていますが、それと同時に下落を騙しとした上昇パターンの可能性もあります。何となくヘッドアンドショルダーからの下落っぽい形になりそうな気もしますが、どうなるかは政策金利決定会合次第でしょう。そのまま上抜ける場合は大きなNのところまで上昇する余地がありそうです。下落する場合は、直近安値に引いたラインがネックになる可能性がありそうです。




 週足的レベルでは、久々の大陰線をほぼ戻す展開。広義で見れば、アセンディングトライアングルの形は未だ健在です。週足レベルにおけるアセンディングをどちらに抜けるのか?が今後重要になると思います。そこは読むことができない為、どちらに抜けるのかを見届けたいと思います。




 ドル円はようやく下落?といった展開から一転。定位置に戻って来ました。ここまで急に戻ると、やはり下落を狙いにいきたくなりますが、政策金利決定会合前は危険かもしれません。週初めは突っ込まず、よほど良い形ができたら短く狙っていく程度が良いかもしれません。また、ここからの動きが今後長い目で見た際の為替の動きを決定する可能性がありますので、要注目かなと考えています。

 それでは今週もがんばりましょう!

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