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3/11週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・植田総裁が利上げについて踏み込んだ発言をしたことで、急激的な円買いが発生。
・マイナス金利解除は既定路線である為、利上げに関する話が重要になりそう。
・アメリカは雇用統計の結果を受け、マイナス金利が下落。
・ユーロについてもラガルド総裁が利下げについて踏み込んだ発言をしたことで金利が下落。
・結果、急激的な円の買い戻しが生じている。


 先週は週半ばに流れが一変。植田総裁をはじめとする日銀関係者がマイナス金利解除及び、利上げを仄めかす発言を繰り返したことで、急激的に流れが変わりました。また、アメリカも経済の悪化が見えるようになってきており、円高要因が強まってきています。


 日本においては冒頭で触れた通り、日銀関係者が3~4月の会合でのマイナス金利解除を仄めかす発言を繰り返しました。その前週には、マイナス金利解除を仄めかす高田委員の発言を打ち消すように、「物価目標実現に向けて見通せる状況には至っていない」と発言。1週間で大きく姿勢が変わった印象があります。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 このタイミングで、マイナス金利解除について踏み込んだ発言を繰り返した理由は定かではありませんが、表向きの理由は春闘が上振れる可能性が高まったことが挙げられます。連合は今年の春闘賃上げ要求が平均5.85%と、昨年の4.49%から大きく超過する見通しを出しています。これを受け、第二の力(賃上げ由来のインフレ)が強まり、来年度以降の物価想定が上振れる可能性が高まる見込みとなったことが一つの理由かなと考えています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 また、量的緩和の枠組みも変更するとの情報もあります。これは情報源が不明とのことですが、もし枠組みの変更を実施するのであれば、段階的な利上げに繋がる可能性があります。ただし、やはり緩和は継続をするということなので、今後も金利のコントロールは行うことで、金利が上がり過ぎないようコントロールし続ける可能性が高いです。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 ただ、マイナス金利解除及び、利上げに対してこれまで慎重だった植田総裁が一転して許容する発言を繰り返したことで、日本の長期金利は上昇。また、マイナス金利解除の利上げが見えたことで円が一気に買い戻され、急激的な円高となりました。個人的にはマイナス金利解除後、すぐには段階的な利上げはせず、空気感を見ながら実施有無を検討していくのではないかと考えています。しかし、現状、相場はほぼ織り込み済みだったマイナス金利解除以上のもの(段階的利上げ)を織り込んでいるように見受けられます。しかし、利上げについては政策金利決定会合にて、より詳細な話を聞かないことにはわからないと思われます。結局、会見の場にてマイナス金利後の利上げについては慎重姿勢を変えないようであれば、失望からの急激的な戻しが発生する可能性がありますので、個人的には現状の過熱感には要注意かなと考えています。


 アメリカについてはISM非製造業が下振れ。雇用統計については、雇用は堅調であるものの、失業率の上昇、賃金の低下が目につきました。



 雇用統計に関しては強弱入り乱れていますが、基本的には前回値と比較して鈍化。発表後はアメリカ長期金利の下落が見られていることから、ISMと併せてアメリカ経済の減速感を市場は感じ始めているのだと思われます。この結果によって、利下げ時期の想定も多少早まっている状況です。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 しかし、毎度記載していることではありますが、利下げに現実感が生まれるのはCPIの明確な減速傾向が見られてからです。昨年も何度も下落気味からの加速という現象が見られている為、やはり完全に減速していると見て取れるまでは利下げに舵を切ることもできないでしょう。そのCPIと結びつきの強い雇用統計が減速気味という結果になっていますが、先ずは次のCPIにて明確な鈍化が見られるかが重要になると思われます。仮に明確な鈍化傾向が見られれば利下げに対してリーチということで、大きく長期金利が下落し、円高傾向がより強まるのではないかと考えています。


 ユーロ圏については政策金利の発表があり、今回も据え置き。しかし、ラガルド総裁が6月における利下げ開始を示唆したことで話題を集めました。会見では、明らかなインフレの鈍化が見られているが、まだ自信が持てる状況ではないと発言しています。しかし、一方で経済指標が明確に悪化してきている状況である為、利下げせざるを得なくなる時期は近づいていると思われます。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 インフレ勝利宣言に向け、やはり鍵を握るのはCPI(HICP)の明確な悪化傾向です。その他の経済指標を見る限り、相当な経済の減速感が見られる状況である為、賃金の上昇が落ち着き、インフレ率も明確に落ちていることが見て取れれば、利下げ開始となる可能性が高いです。よって、3~4月のHICPが連続して悪化し、悪化傾向を見せた場合は6月会合時に利下げを開始する可能性があるのかなと考えています。


 纏めると、日銀がマイナス金利解除を仄めかす発言をしたことで、急激的な円の買い戻しが生じました。また、新しい緩和の枠組みを作ると発言しています。しかし、利上げに対する期待感が高そうであることから、政策金利決定会合にて段階的な利上げに踏み込んだ発言がもし無い場合、再び円が売られる展開になる可能性がありそうです。また、アメリカについては雇用統計が鈍化。しかし、長期金利が下落していることから、この結果は現状の利下げ開始時期が早まったことを意味しているのかなと捉えられます。ユーロについてはラガルド総裁が6月における利下げ開始を仄めかしたこともあり、長期金利が下落傾向になっています。

 以上を考慮すると、日本と海外の金利差が縮まる展開がようやく見えてきた状況です。しかし、相場は未来を織り込んで動くものである為、既に円が買い戻され、クロス円通貨は下落している状況です。一方、マイナス金利解除については規定路線である為、今後は段階的な利上げについて注目があつまりそうです。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルでは下落トレンドに転換。
・日足レベルではまだ下落転換していないが、転換の一歩手前の状況。
・週足レベルではトアセンディングの幅が小さくなってきており、ブレイクが近づいている。
・ファンダメンタルズの影響を受け、ドル円は本格的な下落へと繋がる可能性が生じている。


 先週のドル円は週半ばから急降下。テクニカル的にはどちらかと言うと上昇トレンドが継続しそうな雰囲気でしたが、ファンダメンタルズ要素によって状況が一変しました。


 4時間足においては、典型的な下落の型を経て大きく下落。形的には完全に下落トレンドです。先週末時点では上昇しそうな雰囲気もありましたが、ファンダメンタルズの力も借りて大きな下落を見せました。ただ、一旦、乖離が大きくなっている為、一度戻るのを待ってから戻り売りをするのが良いのかなと思われます。ファンダメンタルズ要素が大きく変化しない限り、テクニカル的な下落の流れが継続する可能性が高い為、暫くはショート狙いが良さげです。




 日足レベルでは、下落トレンドへの転換一歩手前。ここで反発して高値更新をしない限り、こちらも下落トレンドへと転換する可能性が高そうです。日足レベルで転換した場合は下落の流れが加速しそうな気がしますので、そこは狙いどころかなと考えています。




 週足的レベルでは、まだ大きな変化とは言えないですが、久しぶり(9週ぶり)にまともな陰線が見られました。ただ、形的にはアセンディングであるため、引き続きレジスタンスラインを上抜かるか、或いはトレンドラインを下抜けるかを見たいと思います。




 ドル円は、ようやく長期にわたる強引な上昇トレンドが終わるかもしれません。ただ、週足レベルで転換するまでは再び152円付近の高値を試す展開も考えられます。これから、日本、アメリカで政策金利の発表がありますので、その辺りも踏まえて今後の流れが決まってきそうです。

 それでは今週もがんばりましょう!

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