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3/4週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・日銀は低金利継続を市場に折り込ませている段階。
・マイナス金利の解除はする可能性あるが、緩和は継続、金利が大きく上昇しない環境を作る可能性が高い。
・アメリカはISM製造業景況指数が下振れし、長期金利が下落。
・EUにおいては今週の政策金利発表後の会見が重要となりそう。
・今週からは政策金利発表が続くため、警戒感が高まる展開になる可能性がある。


 先週はジリジリとした円安が続いていましたが、木曜日に急落、そして金曜日にほぼ全戻しという激しい展開でした。月末要素はあったのかもしれませんが、やはり根強い円安圧力が健在かなという感覚です。


 日本においては、今週も前週に引き続き、日銀関係者の発言が注目されました。次期総裁とも言われている高田日銀委員が「物価目標実現が見通せる状況になっている」と発言。その発言を受け、市場関係者は利上げの可能性が高まったと捉え、クロス円通貨は軒並み円高となりました。しかし、その動きを受けてなのかはわかりませんが、すぐさま、「金利をどんどん上げるということではない」と発言。個人的には急激的な金利の上昇、円高を嫌い、訂正発言をしたのかなと感じました。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 その翌日、植田総裁はブラジルにて、「物価目標実現に向けて見通せる状況には至っていない」と発言。昨日の高田委員と逆の発言をしました。これを受けクロス円は急激的に円安に。おそらく、昨日の高田日銀委員の発言が海外においては、インフレ率に沿った段階的な利上げを実施する、と捉えられかねないと考え、曖昧な表現は使わずにストレートに否定したのだと思われます。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 ただ、個人的には春闘の結果を受け、4月にマイナス金利を解除する可能性が高いと考えています。マイナス金利解除を正当化する理由として、来年度の物価上昇率の想定が2%を超えることが必要になると考えています。1月会合時には2025年度の見通しは1.8%となっていましたが、これまで何度か記載している通り、これは第二の力である賃上げ由来の物価上昇率を軽視した数値だと考えています。よって、春闘が日銀の想定を超える結果となった場合、2025年度の見通しは1.8%を上振れる可能性が高いと考えています。仮にそのような展開になった場合、それをもってマイナス金利を解除するのではないかと考えています。

 また、先週発表の日本CPIの結果は、減速感は見られるものの、想定を上振れ。これはおそらく、円安による輸入物価の再上昇が要因なのではないかと考えています。植田総裁の言うところの物価目標の持続的・安定的な実現という観点で言うと、輸入物価上昇:第一の力は考慮されないと思いますが、これら物価上昇圧力が第二の力の更なる押し上げに寄与する可能性はあります。よって、このCPIの想定上振れ傾向についてはマイナス金利解除に向けての好材料と捉えられるのかなと考えています。



 ただし、これまでの発言を考慮すると、マイナス金利解除後にも大規模緩和は継続し、金利が上昇しない環境を作る可能性が高いです。よって、高田日銀委員の発言通り、どんどん利上げすることは無いでしょうし、大きく金利は上昇しない可能性が高いです。更なる利上げについては、CPIや、賃上げ率等の数値より、世論や空気感を見て判断するのではないかと考えていますが、いずれにせよ急激的な金利の変化は無いと考えています。よって、日銀の動きによってクロス円通貨が急激的に円高方向に動く可能性は低く、海外の動きがクロス円通貨に対して大きなインパクトを与えることになりそうです。


 その海外において最も影響力の強いアメリカにおいては、ここ最近は経済が好調。軒並み材料が上振れており、利下げ開始時期は3月から、6~7月頃まで後ろ倒しとなっています。しかし、先週に関しては材料結果が下振れ。PCEデフレーターは想定通り前年同月比で微下落だったものの、ISM製造業景況指数は大きめの下落。流石に生産ペースも落ちてきたのかなという印象です。結果、アメリカ長期金利も下落しています。



 また、住宅販売制約指数の下落も目立ってきています。すぐに住宅ローン破綻から始まったリーマンの時のようになることは無いとは思いますが、経済悪化要因となっていくことは間違いないです。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 ただし、先週触れたように利下げに向けて重要となるのはCPIの下落です。ここ最近高止まりしている状況ですので、少なくとも2会合連続で下落し、明確な下落トレンドに入っているなと言えるまでは利下げしない可能性が高いです。来週にはCPIと結びつきが強い雇用統計の発表がありますので、アメリカの利下げ時期の探り合いについてはその後に再び活発化するのではないかと考えています。


 ユーロにおいてはHICPの発表がありましたが、想定及び、前年同月比で微妙に上振れ。しかし、長期金利が変化しなかったことから、現状の利下げ開始論を揺るがすほどの結果では無かったようです。



 ここのところユーロ、イギリスにおいては全くサプライズが無く、動きも乏しい状況ですが、来週はECB政策金利決定会合が開催されます。3月会合は現状維持だと思われますが、重要なのはその後の会見。一部では4月に早期利下げを開始するとの声も出ており、ラガルド総裁がどこまで踏み込んだ発言をするかが重要だと考えています。これまで、ラガルド総裁は夏頃の利下げとの発言をしてきました。今回もそのような発言か、或いは利下げできる状況では無いといった趣旨の発言がある場合は、4月での利下げ確率はかなり低くなるでしょうし、長期金利も上昇し、ユーロが買われる展開になると思われます。しかし、もし4月利下げに向けて含みを持たせた発言をした場合は一気に長期金利が下落すると思われますので、会見での発言に要注意かなと考えています。


 纏めると、やはり日銀はマイナス金利を解除する可能性が高そうですが、低金利は継続する旨を市場に入念に織り込ませて行っている印象です。一方、アメリカについては徐々に経済悪化要因が目立ち始めています。しかし、CPIの結果が悪化しない限り利下げはできないと思われます。ユーロについては現状の利下げ論を揺さぶるほど大きな変化はありませんが、今週のラガルド総裁の発言次第では変化が生じそうです。

 以上を考慮すると、日本と海外の金利差はまだ縮まらない可能性が高そうですが、ここから各国ともに政策金利発表が始まる為、少し警戒感が出てきそうです。よって、新たな為替変動要因が生まれない限り、一方的なトレンドには繋がり辛い状況になるかもしれません。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルでは形が崩れた為、ここからどちらに抜けるのか観測が必要。
・日足レベルではまだ上昇の余地ありだが、4時間足が下落トレンド入りしたら要注意。
・週足レベルではトレンド転換の可能性もあるが、上昇トレンドが継続する可能性が高くなっている。
・ファンダメンタルズの影響を受け、現状のドル円は上昇トレンドが継続する可能性が高い。


 先週のドル円はジリ上げが続いていましたが、月末最終日に急落。しかし、翌日にはほぼ全戻しするテクニカル無視の展開が続きました。


 4時間足においては、形的にはアセンディングトライアングル気味でしたがラインを下抜けしたことで大きく下落。一旦は4時間足レベルでも転換しましたが、そこから下落トレンドは継続せず、昨年から何度も見られたような一気呵成の上昇ですぐに下落前の位置に戻りました。テクニカル的には上にも下にも動きそうな展開である為、まずは150.9円あたりのレジスタンスラインを上抜けるか、或いは再度下落が始まるのかに注目かなと考えています。確定的に上抜ける場合は押し目狙い、下落の場合は戻り高値狙い、逆にどちらかに抜けない限りは待ちかなと考えています。




 日足レベルでは、まだ上昇が続いてもおかしくない展開ですが、こう着状態。テクニカル的にはNのところまで上昇があり得そうです。ただ、4時間足レベルで下落トレンド入りする場合は目線を下に向ける必要が出てくるかなと考えています。




 週足的レベルでは、アセンディングトライアングルのレジスタンスラインに接近していますが、ここ数週間はジリジリとした展開。このまま上値への挑戦を開始した場合、アセンディング気味からの更なる上昇シナリオになります。テクニカル的には、その場合は160円をも超えていくと思われます。引き続きレジスタンスラインを上抜かるか、或いはトレンドラインを下抜けるかを見たいと思います。




 ドル円は引き続き上昇トレンドですが、こう着気味。やはり、ここ最近は金利動向をめぐるファンダメンタルズ要素が大きいのかなという感覚です。ただ、ファンダメンタルズ的にはここから潮目となる可能性がありますので、流れが生じてテクニカル的にも分かりやすい展開になるかもしれません。

 それでは今週もがんばりましょう!

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