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2/26週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・日銀は現在がインフレの状況である事を認めた。
・しかし、緩和は継続し、金利が大きく上昇しない環境を作る可能性が高い。
・アメリカは経済が好調であり、CPIが明確な悪化を見せない限り利下げしない可能性が高い。
・EU,イギリスにおいては今週のCPI(ユーロはHICP)が重要となりそう。
・現状では円高方向に動く要因は殆ど無い。


 先週は株価がバブル期の高値を更新。実に30年ぶりの高値更新となりました。株価上昇の一つの要因に円安が上げられると思いますが、果たして今後もこの流れは続くでしょうか。


 日本由来で為替に影響するような大きなトピックはありません。強いてあげるなら、植田総裁の国会での発言。いつも通りの「基本的物価は高まりつつある」「物価動向を踏まえて適切な金融運営を行う」といったフレーズの他、「デフレではなく、インフレの状態にある」といったフレーズが聞かれました。記憶している限り、明確にインフレしていると発言したのは今回が初めてだと思います。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 植田総裁はサプライズを嫌うタイプの方との話を聞きますが、ここ1ヶ月間の繰り返しの発言はマイナス金利解除を行うので準備しておいてください、と相場や各機関に折り込ませにいっているように感じます。この発言後には瞬間的に円買いになりましたが、値幅は限定的だった上に、数時間後には元の位置に戻りました。これは相場が既にマイナス金利解除をほぼ織り込んでいたことを意味すると思われます。

 また、植田総裁は「金利が1%上昇した場合、日銀保有の国債評価損は40兆円」とも発言しています。現在の日本の適正金利は2%との話を聞いたことがありますが、仮に2%になった場合はおおよそ80兆円の評価損ということになります。日銀がどの程度まで含み損を許容できるのか明確な数字は把握していませんが、金利を上げた場合は評価損が大きくなることから、連続して金利は上げられないという意図が含まれているなと感じました。ただ、こちらも為替に対してほぼ影響無し。日銀がマイナス金利後にも緩和を継続することで、連続して利上げしていくことは無い、といった認識が既に市場に織り込まれているなと感じます。よって、日本の金利が目に見える上昇を見せる展開はまだ先の事のように思えますので、円安トレンドを転換させるのは海外の動き次第になるのかなと考えています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 その海外において最も影響力の強いアメリカは、早期利下げを実施すべきでは無い、といった論調が強まってきています。先週発表のFOMC議事要旨においては、政策金利がピークに達した可能性は高いが、利下げ後のインフレ再加熱についての懸念が記載されていました。また、高金利を維持し続けることによる経済悪化懸念に対しても楽観的な見方をしており、近々で突然利下げ決断に向けて舵を切る状況にはならなそうだなという印象です。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 また、その経済状況を占う指標の一つであるPMIの発表がありました。サービス業は低下が見て取れましたが、生産拡大ペースは過去10ヶ月で最高レベルの結果。経済指標からは明確な経済悪化傾向は見られない状況です。アメリカ経済においては、地銀問題という爆発する可能性を持つ危険因子もありますが、今の所経済指標には何も影響が見られていない状況です。



   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 近々の経済指標を受け、利下げ時期についての市場予想は当初の3月から6~7月へと後ろ倒しに。ただ、今後の経済指標次第では更なる後ろ倒しも考えられます。個人的には、利下げ時期を探る上で重要になるのはCPIの明確な減速傾向が見られるかだと考えています。結局、インフレ率が下落しなければ、他の経済指標が悪化したところで利下げは出来ないと考えます。FRBの最大の目的は2%のインフレ率に戻すことであり、時給や経済活動を安定化させることではないからです(勿論、CPIを安定化させる上でそれらの安定化は重要になるが)。よって、CPIの明らかな減速傾向、つまり最低でも2ヶ月連続でCPIの下落が見られない限り、利下げはないのかなと考えています。


 ユーロ、イギリスは各国でPMIの発表がありました。結果は、強弱入り混じる展開。経済の悪化傾向は足踏みかなという感覚です。その結果、長期金利もほぼ変化が見られていない状況です。



 長期金利の大きな変化が見られない = 経済指標等でサプライズが見られない状況、と考えても差し支えないと思います。よって、ユーロ、イギリスにおいては経済悪化傾向は見られるものの、決定打となるものが見られていない状況です。今週、ユーロ圏においては消費者物価指数の発表がある為、そこで明確な下落傾向が見られた場合は4月あたりでの利下げ論が強まり、長期金利の下落、そしてユーロが売られる展開になるかと思われます。しかし、逆に上振れた場合はその逆の展開になる可能性が高そうです。


 纏めると、日銀はマイナス金利を解除する可能性が高いですが、緩和は継続。低金利は継続する旨を市場に入念に織り込ませて行っている印象です。一方、アメリカについては未だに経済指標が好調。CPIの悪化か、地銀問題が表面化しない限り利下げはできない状況です。ユーロ、イギリスについては現状の利下げ論を揺さぶるほど大きな変化はありませんが、今週発表の消費者物価指数次第では変化が生じそうです。

 以上を考慮すると、日本と海外の金利差はまだ縮まらないとの見方から、今週も引き続きファンダメンタルズ的には円が売られやすい傾向になるかもしれません。しかし、口先介入等が入り始めていますので、昨年のように152円後半に近づくにつれ、介入が意識されて動きが緩慢になる可能性がありそうです。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルでは上昇トレンドが継続しており、押し目買いが狙い目。
・日足レベルではまだ上昇の余地ありだが、介入が抵抗になる可能性。
・週足レベルではトレンド転換の可能性もあるが、上昇トレンドが継続する可能性が高くなっている。
・ファンダメンタルズの影響を受け、ドル円は上昇トレンドが継続する可能性が高い。


 先週のドル円はレンジ気味の展開が続いていましたが、下落する理由がない為、ジリジリとした上昇が続いています。


 4時間足においては、形的には完全に押し目からの上昇パターン。綺麗な形をしており、典型的な押し目からの上昇シナリオです。ここから下落トレンドへと転換するには大きな燃料が必要になります。よって、今週も基本的には押し目を拾っていく展開になるのかなと考えています。




 日足レベルでは、上昇トレンド継続。あまり遮る要素もなく、テクニカル的にはNのところまで上昇するのかなという印象です。唯一の壁は介入への警戒感だと思われます。152円に近づくにつれて動きが重くなるかもしれませんが、基本的には上昇トレンドが継続する可能性が高いのかなと考えています。




 週足的レベルでは、引き続きになりますがアセンディングトライアングルのレジスタンスラインに接近。このまま上値への挑戦を開始した場合、アセンディング気味からの更なる上昇シナリオになります。テクニカル的には、その場合は160円をも超えていくと思われます。引き続きレジスタンスラインを上抜かるか、或いはトレンドラインを下抜けるかを見たいと思います。




 ドル円は引き続き上昇トレンド。下落トレンドに入っていたところ、ファンダメンタルズ要素が力となり、強引に上昇トレンドへと持っていかれました。今の所、再びファンダメンタルズが変化しない限り、この流れを遮るものはありません。テクニカル的には押し目買いするのが期待値的に高そうです。勿論、短期的に下落トレンドに転じる場面もあるかと思われますが、力強いファンダメンタルズの後押しがある為、下落すればするほど買いが集まり上昇への期待感が高まる構図が続くのかなと考えています。

 それでは今週もがんばりましょう!

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