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2/19週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・日銀はマイナス金利を解除する可能性が高いが、緩和は継続する為、金利は大きく上昇しない可能性が高い。
・アメリカにおいてはCPIが上振れ、長期金利が上昇。
・結果、日米の金利差が広がり円安になっている。
・イギリスは経済の鈍化が見られるが、CPIは依然として高い。
・現状では円高方向に動く要因は殆ど無い。


 先週のクロス円通貨は比較的調整気味の動きでしたが、CPIで円安方向に飛びました。ファンダメンタルズ的には円安要素が揃っている状況です。


 日本においてはGDPの発表がありました。結果はまさかのリセッション。ドイツに抜かれたと騒がれていますが、それ以前にリセッションは問題かなと思います。金融緩和を継続しながらリセッションするのは驚きですが、それだけ日本経済がうまく回っていないということでしょう。内訳を見る限り、国内産業の成長鈍化傾向が見られ、少しずつ円安の影の部分が目立ち始めているのかなといった印象を受けました。

 先週から引き続きですが、下記は政府、日銀、IMFによるGDP, CPI予想を比較したものになります。下記図より、日本はGDPをIMFより高く見積もり、CPIを低く見積もっていることがわかります。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 政府、日銀はだいぶ楽観論なんだなと感じますが、GDPが低くなる場合は利上げを急ぐ必要が無いという理由になり得ます。勿論、CPIが上振れた場合はそれに反することになりますが、あまり利上げを急ぎたくなさそうな日銀からすると、利上げ出来ない理由の一つとして使われる可能性があるかなと感じています。

 一方、アメリカCPI発表後に円安が加速したことで、久しぶりに神田財務官からの口先介入がありました。ほぼ為替影響はありませんでしたが、緊張しながら市場を注視する、投機的な動きは如何なものか、といったお決まりのフレーズが聞かれました。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 しかし、逆に日銀は先週の8兆円レベルの指値オペに引き続き、今週も2.5兆円の指値オペ実施を通知。これこそが投機的な動きを助長させているのでは?と感じますが、マイナス金利解除後も極めて緩和的な環境が続く、というのを市場に対してアピールしているようにも感じます。勿論、アメリカ長期金利の上昇の影響を受け、日本の金利も上昇傾向が見られた為、早めに歯止めをかけるという目的もあったかと思われます。しかし、結果的に円安圧力を高める要因を作っていることは確かだと考えます。

 その日銀、植田総裁は先週から引き続き、物価目標の持続的・安定的実現が見通せる状況になれば、マイナス金利は解除する、しかし当面の間は大規模緩和は継続すると発言。春闘次第でマイナス金利は解除するが、金利は一気に上げません、という方針を市場に織り込ませました。一方、新たに2024年、2025年の物価見通しが2.4%, 1.8%ならデフレとは程遠いという発言もありました。この発言は、仮に春闘が上振れ、第二の力が強まり、2025年度の1.8%から上振れた場合、更なる政策変更へと繋げる布石かなと感じています。じれったい程にゆっくりとした政策修正ですが、春闘次第ではマイナス金利解除後に多少の利上げは考えられるのかなと感じています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)




 先週のアメリカは指標発表ラッシュ。特にCPIが上ぶれたことが話題を集めました。この結果を受け、アメリカ長期金利は上昇。ドル買い、円売りの傾向を強めました。



   ※引用:nikkei225jp



 CPIについては前月比、市場想定共に大きく上振れ。アメリカ経済の底堅さを感じさせる結果になりました。ここ最近のその他の経済指標、特に平均時給が上振れていることを考えれば、少なくとも前月比で下回ることは考え辛かったのですが、結果はやはり大きく上振れ。当然ながら利下げ時期の想定が後ろ倒しになり、長期金利は大きく上昇しました。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 その後の小売売上高が下振れたことで長期金利の上昇には歯止めがかかりましたが、PPIが上振れたことでインフレの沈静化はまだ先かなという雰囲気が強まっています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 12月までは順調なインフレ鈍化傾向でしたが、そこから急激的に再加熱しています。アメリカ国内では利上げの必要性が生じる可能性もある、といった論調も出始めており、もうじきインフレは沈静化する、とは言い難い状況になってきています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 そうなると当然ながら、円安傾向は続きそうな印象を受けます。影となっているのは、先週記載したクレジット未払い残高の記録的上昇と、地銀問題です。仮にこの円安傾向を急激的に逆転させるとしたら、おそらく、それらの問題がアメリカ経済に波及し、世界的に経済が急悪化したときなのかなと考えています。


 ユーロは大きなトピックは無し。長期金利もほぼ変化なしの状況です。一方、イギリスにおいてはCPI, GDP, 小売売上高の発表がありました。CPIは横ばいでしたが、GDPに関してはマイナス成長となったことで日本と同様にリセッションの状況。小売売上高が上振れたことで状況判断を難しくさせていますが、経済が徐々に減速している様子は見られます。



 CPIが上振れている限り利下げすることはできないと思われますが、ここ数ヶ月の経済指標の鈍化傾向を見る限り、CPIの下落も時間の問題なのかなと感じます。ただ日本と違い、経済悪化が続く場合は高過ぎる金利を下げて緩和していけば良いという状況。勿論、CPIを見ながらになると思われますが、ユーロと同じく利下げが見えてきている状況だと思われますので、多少の円買い戻し要素(円高要素)になるのかなと考えています。しかし、既にほぼ市場は織り込んでいると思いますので、大きな円高傾向には繋がり辛いかと思われます。


 纏めると、日銀はマイナス金利を解除する可能性が高いですが、緩和は継続する為、各国との金利差が一気に詰まっていく展開にはならないと思われます。一方、アメリカについては経済指標が好調。CPIが上ぶれたことで長期金利も上昇していますが、地銀問題等の懸念点もあります。ユーロ、イギリスについては現状の利下げ論を揺さぶるほど大きな変化は生じませんでした。

 以上を考慮すると、日本と海外の金利差はまだ縮まらないとの見方から、今週も引き続きファンダメンタルズ的には円が売られやすい傾向になるかもしれません。しかし、口先介入等が入り始めていますので、昨年のように152円後半に近づくにつれ、介入が意識されて動きが緩慢になる可能性がありそうです。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルでは上昇トレンドが継続しており、押し目買いが狙い目。
・日足レベルではまだ上昇の余地ありだが、介入が抵抗になる可能性。
・週足レベルではトレンド転換の可能性もあるが、上昇トレンドが継続する可能性が高くなっている。
・ファンダメンタルズの影響を受け、ドル円は再び大きく上昇する可能性が強まっている。


 先週のドル円は、アメリカCPIで再び急騰。押し目からの上昇という流れが続いています。


 4時間足においては、週明けからほぼほぼ下落せずに時間的調整。アメリカCPI前から押し目買いが入り始めていましたが、CPI発表と共に急騰しました。しかし、移動平均線から大きく離れているわけではないですし、多少下落したことで再び押し目感が強まってきています。ファンダメンタルズ的にも、テクニカル的にもこのまま下落転換するとは考え辛いので、再び押し目からの上昇が始まるのかなと考えています。




 日足レベルでは、これまで強く機能していたへッドアンドショルダーのラインを突破。今度はレジスタンスラインになる可能性が高そうです。先週記載した通り、上昇3波動目に入っているかと思われます。日足的には3波動目のNのラインのところまでは上昇していますが、もっと広義で見た際のNのラインまではまだ距離がある為、テクニカル的には、先ずはそこを目指す可能性が高いのかなと考えています。勿論、為替介入への恐怖心が出てくると思いますので、152円越えあたりから素直に動くかどうかは未知数です。




 週足レベルでは、アセンディングトライアングルのレジスタンスラインに再接近。このまま上値への挑戦を開始した場合、アセンディング気味からの更なる上昇シナリオへと突入する可能性があります。その場合は160円をも超えていくと思われます。引き続きレジスタンスラインを上抜かるか、或いはトレンドラインを下抜けるかを見たいと思います。




 ドル円は引き続き上昇トレンド。今の所、為替介入以外はこの流れを遮るものはありません。テクニカル的には押し目買いするのが期待値的に高そうです。勿論、短期的に下落トレンドに転じる場面もあるかと思われますが、力強いファンダメンタルズの後押しがある為、下落すればするほど買いが集まり上昇への期待感が高まる構図が続くのかなと考えています。

 それでは今週もがんばりましょう!

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