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2/12週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・日銀はマイナス金利を解除する可能性が高いが、緩和は継続する為、金利は大きく上昇しない可能性が高い。
・アメリカにおいては経済指標が好調であり、長期金利が上昇しているが、経済悪化要因もある。
・ヨーロッパにおいては大きなトピックが無いが、長期金利が微上昇。
・上記要因により、日本と海外との金利差が大きく縮まらない可能性があるとの見方が強まり円安に。


 先週のクロス円は、再び円安トレンド再開。日銀がマイナス金利解除後においても緩和は継続し、金利は上げないだろうと繰り返し発言したことによって、急激的に円が売られる状況となりました。


 日本においては、植田総裁をはじめとした日銀関係者が国会で答弁を行いました。発言を要約すると、マイナス金利解除に向けて物価目標達成の確度は高まっているが、マイナス金利解除後もYCCは継続し、緩和を継続することで金利がどんどん上がっていかない状況を作る、という内容になります。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 前日のBloombergでは日銀は2024年中に3回以上の利上げを行う可能性が高いとの記事が出されており、完全に逆をいく発言となっていました。海外からすると、目標とする2%のインフレ率どころか、CPIコアコア指数が2年間の間、4%程度をほぼ維持している状況下で、何故正常な金利に戻さない?、といった感覚なのだと思われます。その点はIMF(国際通貨基金)からも指摘されており、海外からするとクエッションな状況だと考えられます。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 マイナス金利解除については既に既定路線でしょう。しかし、その後に金利はほぼ上げない可能性が高いと思われます。そして市場の反応を見る限り、段階的な利上げを否定したことはサプライズだったと思われます。1月の政策金利決定会合の会見にて既に出ていた話ではありますが、海外の捉え方としてはマイナス金利解除後は段階的に利上げをしていく認識だったようです。よって、海外との金利差が一気に縮まっていく状況にはならないだろうという市場認識となり、円が大きく売られる展開となりました。

 マイナス金利解除後、どのような条件でYCCを撤廃するのか?また利上げしていくのか?といった点が気になりますが、これは現段階での想定は難しいです。日銀が目標とする2%の物価見通しという観点で言うと、直近2年間は達成する可能性が高いです。しかし、2025年度の物価見通しは1.8%ということで、まだ第二の力(賃上げによる物価上昇圧)が弱い為、緩和的な状況を変えられないとの発言をしています。

 それでは想定以上の賃上げがあり、賃上げが物価に転嫁される傾向が見られ、2025年度の物価見通しが2%を超えた場合、利上げするのでしょうか?個人的には、それだけではYCCの撤廃、或いは連続した利上げはしないと考えています。2026年度の物価見通しを引き合いに出し、翌年(2025年)の春闘の結果を見た上で判断したいと言うのではないでしょうか。2%の物価見通しという明確なゴールはありますが、それを持続的かつ安定的に実現する、という達成条件に曖昧さがある為、明快な予想をすることは困難だと感じます。よって、やはり空気感を見て、金利を上げられそうな状況であれば何かしら説明をつけた上で利上げする、といった展開になるのではないかと考えています。その空気感には、日本だけでなく、アメリカの出かたが大きく関わってくると思われます。


 そのアメリカについてですが、経済指標が軒並み上振れ。市場想定とは?という状況が続いています。先週はISM非製造業景況指数の発表がありましたが、こちらも前月、市場想定をともに上振れる結果となりました。



 また、パウエル議長がテレビ出演し、3月の利下げ確率が低いことを改めて表明。また、早期の利下げについて否定的な発言をしました。それらを受け、アメリカ長期金利は再び上昇。4.2%に迫っている状況です。

   ※引用:nikkei225jp




 パウエル議長がそう発言するのも頷けるようなアメリカ経済の強さが際立っていますが、一方、暗雲も立ち込めてきています。その一つがクレジットカード延滞率の急上昇です。特に若年層を中心に延滞率の上昇が続いています。コロナ前も問題になっていましたが、その際の水準までほぼ戻ってきている状況です。その時期との違いは、インフレ率が高く、金利も高いということです。消費者金融から借入している方も多いと聞きますが、そういった事をせざるを得ない低所得者層においては、コロナ前よりも未払い解消は難しい状況だと思われます。このまま家庭債務及び、クレジットカード延滞率が増加した場合、消費意欲を減退させるでしょうし、地銀破産危機へと繋がっていきます。

   ※引用:ロイター(画像クリックで記事にアクセス)



 もう一点の問題である地銀倒産リスクについては、やはり問題になってきています。昨年もBOA倒産問題が取り立たされましたが、地銀問題が再燃しています。

   ※引用:中央日報(画像クリックで記事にアクセス)



 仮に地銀倒産が始まった場合は、やはりリーマン倒産の時のように連鎖的に影響が広がっていくと思われます。為替への影響(大きく円高になる可能性が高い)も大きいでしょうし、日本の株価も急落するでしょう。もちろん現段階で影響の範囲や、そもそもそういった状況になり得るのか等は分かりませんが、イケイケのアメリカ経済において、それらが影を落としている状況です。


 ユーロ、イギリスに関しては大きなトピックは無し。ユーロ圏においては小売売上高、PPIの発表、イギリスにおいては建設業購買担当者景気指数(PMI)の発表がありましたが、結果はほぼ想定通りでした。



 この結果を受けて、長期金利は微上昇。目に見えて経済指標データが悪化してきている結果では無い為、3月での早期利下げ確率が減少し、長期金利が微上昇しているのかなと考えています。昨年末に早期利下げ論を織り込み過ぎてしまっている為、明確な悪化傾向が見られない限り、長期金利の大きな変動は見られないのだと思われます。


 纏めると、日銀はマイナス金利を解除する可能性が高いですが、緩和は継続する為、各国との金利差が一気に詰まっていく展開にはならないだろうという認識が広がりました。一方、アメリカについては経済指標が好調。長期金利も上昇していますが、地銀問題等の懸念点もあります。ユーロ、イギリスについては現状の利下げ論を揺さぶるほど大きな変化は生じませんでした。

 以上の結果を考慮すると、日本と海外の金利差はまだ縮まらないとの見方が強まることから、今週も引き続き円が売られやすい傾向になるかもしれません。もし流れが変わるとしたらアメリカの金融危機か、トランプ砲(円安に対する強い懸念)だと思われます。ただ、現段階で予想できるほどの材料が揃っていない為、引き続き注視する必要がありそうです。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルでは上昇トレンドが再開。
・日足レベルではヘッドアンドショルダーの肩のラインをほぼ超えたと言って良い状況。
・週足レベルでは上昇トレンド転換の可能性もあるが、上昇トレンドが継続する可能性もある。
・ファンダメンタルズの影響を受け、再び大きく上昇する可能性が強まっている。


 先週のドル円は、雇用統計後の急騰を戻す形になりかけていましたが、日銀関係者の答弁によって急騰。上昇トレンドが継続しそうな雰囲気が漂っています。


 4時間足においては、週明けは日足のへッドアンドショルダーのネックラインに抑えられる形で下落していました。そのまま下落するのか、押し目になるのか、せめぎ合いが見られましたが、ファンダメンタルズ要素によって急騰。結果、高値更新している状況です。4時間足レベルの下落調整は先々週の雇用統計前の時点で終わったと考え、新たに上昇波動が始まっていると捉えるべきかなと考えています。ファンダメンタルズ要素が変わらない限り、基本的には上昇トレンドが継続する可能性が高そうです。




 日足レベルでは、これまで強く機能していたへッドアンドショルダーのラインが突破されている状況です。金曜日はあまり大きな動きが見られませんでしたが、テクニカル的にはこの形で再び下落トレンド再開の確率は低いと思われます。よって、今は上昇3波動目が始まったところだと捉えるべきなのかなと考えています。その場合、Nのラインのところまでは上昇するのかなと考えています。




 週足的レベルではやはり先週の感覚通り上昇してきたなという状況です。まだトレンドラインを割って下落していく可能性も十分ありますが、このまま上値への挑戦を開始した場合、アセンディング気味からの更なる上昇シナリオへと突入する可能性があります。その場合は160円をも超えていくと思われます。引き続きレジスタンスラインを上抜かるか、或いはトレンドラインを下抜けるかを見たいと思います。




 ドル円は雇用統計の結果を受けて大きく上昇しましたが、先週は日銀による積極的な緩和・低金利継続宣言により、強引な上昇が続いています。日足レベルではもうほぼ上昇トレンドのシナリオ入りしたかなという感覚がありますので、何かしら事件が生じて大きく下落しない限り、押し目を拾っていく感じになるのかなと考えています。

 それでは今週もがんばりましょう!

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