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2/5週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・日本は4月あたりでの利上げ確率が高い。
・YCCは継続する見込みの為、急激的に金利が上昇する可能性は低い。
・アメリカは雇用統計の結果が大きく上振れた為、3月利下げ確率が減少。
・結果、日米の大きな金利差が継続するとの見込みから円安に。


 先週のクロス円は、下落基調。FOMC後も下落が続きました。しかし、雇用統計で一変、完全に流れが変わった感があります。


 日本においては、政策金利決定会合における、日銀の主な意見が公開されました。注目すべきは経済・物価情勢が全体として改善傾向にある、マイナス金利解除を含めた政策修正の要件が満たされつつある、といったマイナス金利解除に対する肯定的な意見。見極めの段階に入った、との意見もあり、マイナス金利解除は既定路線と捉えられます。具体的な時期は先週触れたように4月の可能性が高いですが、前後にブレる可能性もあり得ます。最終的に解除時期が決定されるのは経済指標結果、そして賃上げ動向次第になるかと思われます。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 その意見を受け、円は買われ気味の傾向となりました。勿論、1月は大きな円売りだった為、月末に買い戻されたという見方もできますが、各国との金利差の縮小も意識されているのかなという展開になっていました。ただ、日銀はYCCに関しては継続する旨を表しています。よって、マイナス金利を解除したからと言って、金利差が一気に縮小する展開にはならないと思われます。やはり、金利差の縮小に関しては海外の利下げ動向が大きく関わってくるかと思われます。


 その海外で最も影響力の強いアメリカに関しては、先週FOMC、ISM製造業景況指数、雇用統計とビッグイベントが続きました。



 FOMCに関しては想定通り金利は据え置き。利下げ時期を探るべく、会見に注目が集まりました。会見において、パルエル議長は前回とは逆に慎重な姿勢。インフレが十分に抑えられたことを確認できるまで利下げはできないとの発言をしています。また、会見では3月利下げはあり得るか?という質問が相次いだ結果、3月は利下げ確率が低いと発言しました。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 会見内容はどちらかと言うと鳩派。よって、3月利下げ確率が減少し、アメリカ長期金利は上昇するのかと思いきや、逆に大きく下落。結局、3月までのあと2ヶ月分の経済指標データを見てみなければ3月の利下げ有無は判断できませんし、市場はパウエル議長の発言を利下げの後ろ倒しの可能性とは捉えなかったのだと考えられます。また、直前のADP雇用統計の結果も悪化しており、市場の利下げへの期待はむしろ高まっている状況でした。

 しかし、雇用統計で市場の考えは一変。あまりにも強い結果を受け、アメリカ長期金利は急騰しました。雇用者数の上昇もさることながら、特に賃金が前年同月比で4.5%(前回は4.1%)も上昇しています。これが適切に物価に転嫁されるなら、当然ながら物価上昇も止まりませんし、目指している2%のインフレ率からも遠のきます。市場想定とも、ADP雇用統計とも大きく乖離しており、データ精度を疑いたくなりますが、市場はこれに敏感に反応。3月利下げ確率は減少し、長期金利は大きく上昇しました。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 ただ、利下げ時期が後ろ倒しになっただけで、いずれ利下げする事は自明です。クレジットカード残高や、地銀、不動産セクターを見る限り、アメリカ経済の減速感は否めませんし、高金利を維持し続けることはできないと思われます。この長期金利上昇によって、キャリトレード復活による円安が再来していますし、その流れは暫く可能性があります。しかし、利下げが見えている今年は、昨年ほどの一方的円安は続かない可能性が高いです。よってまずは、アメリカ長期金利がどこまで上昇するか?を見る必要がありあそうです。

   ※引用:nikkei225jp




 ユーロ圏に関してはGDP、HICP(消費者物価指数)の発表がありました。GDPは低水準でほぼ横ばい。HICPに関しては着実な下落傾向が見て取れました。



 しかし、長期金利の変動は大きくありませんでしたし、ユーロが一方的に売られる展開にはなりませんでした。これは先週時点で既に3~4月あたりでの利下げを織り込んでしまったことが要因と思われます。インフレ率の低下傾向はここ数ヶ月間見られているものですし、このままインフレ率が低下した際、次回会合か、或いはその次の会合で利下げすると市場は認識しています。よって、想定通りのインフレ率低下は、利下げ時期を変えるような目新しい情報では無かったということで、大きな変動は生じませんでした。今後の経済指標を持って、利下げ時期を探っていく必要がありそうです。

   ※引用:楽天証券




 イギリスに関しては長期金利の発表がありました。結果は想定通り据え置き。しかし、追加利上げを実施するという文言がガイダンスから削除されたことで、利下げ時期を探っていく段階に入ったことを意識させました。ただ、こちらもユーロと同じく利下げ時期を変更する程のものではありません。知ってた、という内容だった為、ほぼ無風で終わっています。こちらも、今後の経済指標を持って、利下げ時期を探っていく必要がありそうです。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)




 纏めると、日銀の春先での利下げ確率は更に上昇しましたが、YCC継続により、各国との金利差が一気に詰まっていく展開にはならなそうです。一方、アメリカについては雇用統計の結果を受けて利下げ時期が後ろ倒しになる可能性が高まりました。結果、長期金利が上昇しています。ユーロ、イギリスについては現状の利下げ論を揺さぶるほど大きな変化は生じませんでした。

 以上の結果を考慮すると、先週よりは円は売られやすい傾向になるかもしれません。なぜなら、アメリカの利下げ時期が遠いたことで、キャリートレードが活発になる可能性が高いからです。やはりアメリカの経済指標結果が良好=円安、という傾向は継続しています。しかし、利下げ時期は見えているので、昨年のような一方的円安の展開にはならなさそうです。また、金曜日に一気に円が売られましたので、週明けについては、反対売買による円買いから始まる(クロス円通貨は下落)可能性がありそうです。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルでは下落転換したが、材料で流れが変わった為、月曜以降の動きをもって新たな分析をする必要がある。
・日足レベルではヘッドアンドショルダーの肩のラインを超えるかが重要。
・週足レベルでは長期トレンドの転換の瀬戸際だが、上抜けた場合は上昇トレンド続行。
・テクニカル的にも節目になりそうな場面になっている。


 先週のドル円は下落気味の展開でしたが、金曜日に急騰。1時間で全て戻しました。結果、テクニカル的には今後の動きを見なければ方向を予想できなさそうです。


 4時間足においては、週半ばに下落トレンドへと転換。MAの形を見ても典型的な下落トレンドの開始を示唆しており、1波動目の下落が始まった感がありました。しかし、金曜日の雇用統計で一変。テクニカル無視の上昇が入ったことで、逆に押し目っぽさも出てきています。これを下落を騙しとした4時間足レベルの5波動目の上昇開始と取るべきか、或いはもっと上位足の3波動目の開始と取るべきかは分かりませんが、テクニカル的には再び上昇トレンドが再開したと見るべきかなと考えています。ただ、ファンダメンタルズで一喜一憂している状況ですし、円売りの反対売買もありそうな状況ですので、4時間足においては週明けの動きを見てから今後の動きを予想した方が良さそうです。




 日足レベルでは、ぎりぎりへッドアンドショルダーの肩のラインで落ちて3波動目の下落が開始か、といった流れでしたが、再び怪しくなっています。ここで下落すれば完璧な下落トレンド再開でしたが、再びネックラインに迫っている状況です。ただ、このあたりの抵抗はかなり強く作用している為、これ以上の上昇が見られない可能性もあります。ただ、予想しても仕方がないので、ここで落ちるのか、或いは突破していくのかを見る必要がありそうです。落ちる場合は日足レベルの下落3波動目再開、突破する場合は週足レベルにおける大きな上昇が生じる可能性がありそうです。




 週足的レベルでは何となく上昇っぽさを感じます(感覚論)。現在は短期足ではよく見られるアセンディングからの上昇の形に近づいてきています。このまま151円あたりまで行くようであれば、アセンディングトライアングルの形である為、上辺のラインを突破次第、更なる上昇を見せる可能性があります。しかし、逆にトレンドラインを割った場合は、数十円レベルの大きな下落が見られる可能性があります。その為、ここを上に抜けるのか、或いは下に抜けるのかは長期的な流れを決める重要な局面なのかなと考えています。




 雇用統計の影響でテクニカル的には総崩れしています。これをチャートが織り込み、新たな流れ、形を形成するのを待つ必要がありそうです。やはり注目はへッドアンドショルダーのネックラインで落ちるかどうか。落ちれば大きめの下落が生じそうですが、落ちずに突破した場合は更なる円安が見えてきます。ファンダメンタルズと併せるとそこまでの上昇にはならない気もしますが、あくまでテクニカルで見た場合はここからの動きが節目になりそうな気がしますので、週明けからの動きには要注目かなと考えています。

 それでは今週もがんばりましょう!

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