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1/29週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・日銀による利上げは4月頃が想定されている。
・しかし、金融緩和の枠組み(YCC)は継続する模様。
・アメリカは直近の経済指標は堅調だが、3月頃の早期利下げ確率は健在。
・EU圏においては4月頃の利下げ論が主流。
・各国との金利差は依然として大きいが、今後縮まっていき、円安トレンドが転換する可能性。


 先週のクロス円は、一方的な円安トレンドから一転、日銀政策金利決定会合後に買い戻されました。しかし、週末には再び円安トレンドが戻ってきています。


 日本においては、先週、日銀政策金利決定会合が実施されました。結果は想定通りの現状維持。粘り強く緩和を続けるといういつものフレーズも聞かれました。ただ、それに関しては想定の範囲内。重要なのは物価目標実現に対する日銀の見方、そして利上げについて踏み込んだ話をするかどうか。よって、会見に注目が集まりました。

 注目の会見は、いつも通りのらりくらりとした対応。やはり具体的な利上げ時期や、物価目標実現に対する定量的な見解については触れず、確度は高まってきている、といういつもの表現となりました。また、マイナス金利を解除したとしても緩和は継続するということで、引き続き金利をコントロールする旨を表しました。

 一見、これまでと変わらないような会見内容に感じますが、個人的にはこの緩和を継続する、という発言は大きなポイントかなと考えています。現段階で敢えて触れたということは、裏を返せば、マイナス金利はいずれ解除しますよ、といった捉え方もできるかと考えます。マイナス金利は解除するものの、緩和政策を継続することで金利が上がり続ける状況にはしません、という市場へのメッセージとも捉えられますし、マイナス金利はいずれ解除するから準備をしておいてください、と市場に折り込ませているようにも捉えられます。また、中小企業の賃上げ動向が出揃うのは6月頃だが、そこまで待つのか?という問いに対し、6月まで待たなくてもある程度想定できる、という返しをしていました。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 もう一つ注目のポイントは物価見通しを変更した点。今年度の見通しについては2.8%から2.4%に引き下げましたが、来年については1.7%から1.8%に引き上げています。先週触れたように、基本的には前年度比になりますので、今年度の物価見通しが下がれば次年度の物価見通しは上がりますし、春闘次第では上振れやすくなります。その為、物価目標実現の確度が高まっている、という植田総裁の発言は数字にも表れていると考えます。

 以上のことから、基本的にはYCCは継続しつつもマイナス金利を解除するというのは規定事項であり、時期は大企業の春闘の結果が出揃う4月の可能性が高いのではないかと考えます。もちろん、春闘の結果が想定以上に悪ければ話は変わってきますが、報道を見る限りではそれは考え辛いと感じています。そういった思惑を感じ取った市場は、マイナス金利解除の可能性、時期が明確になりつつあると捉え、結果的に円高方向へと動いたのだと考えます。しかし、YCCは継続 = 金利が上がり続ける状況にはならず、金利差が一気に縮まる可能性は低いと捉えており、大きな円高にはならなかったのだと考えています。


 アメリカについてはFOMCを控えているということもあり、長期金利はレンジ状態。これが為替にも影響し、分かり辛い動きへと繋がっています。また、FOMC前、最後の経済指標としてPMI, GDP, PCE デフレーターの発表がありました。





 結果はほぼほぼ全てが想定を上回るものとなっています。この結果を見る限り、今回のFOMCでの利下げは考えられませんし、3月の利下げ期待値も低くなったのではないかと考えたくなります。しかし、これら個人消費の指標は堅調ではあるものの、これまでのインフレに関する指標については下落傾向です。よって、3月の利下げ確率が下がったとまでは言えないなのかなと考えています。アメリカでは3月の利下げ確率は依然として50%程度との見方をされており、今後の雇用統計やCPIといったインフレに関する経済指標が重要になりそうです。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 そうなると会見での発言に注目が集まりそうですが、12月FOMCでの会見時パウエル議長は利下げ時期について検討しているとの発言をしています。しかし、今回それ以上のサプライズ発言があるとは考え辛いです。債券市場は既に3月の利下げ論は一度折り込み、現在は行き過ぎた分戻している段階である為、具体的に3月や4月に利下げする等の発言をしない限り、再び大きく長期金利が下落するシチュエーションにはならないと考えています。ドル円ベースで考えると、近々で日本とアメリカの金利差は縮まらない = 大きく円高に動く可能性はまだ低そうな感じはしています(テクニカル次第になりそう)。

 もう一点重要なこととして、アメリカでは大統領選挙戦が行われていますが、トランプ元大統領が当選する可能性が高まってきています。トランプ元大統領は減税を好みます。しかし、インフレが続いている状況で減税を実施した場合、インフレが再燃する可能性が極めて高いです。その為、トランプ優位の現状においても、未だ減税の可能性は市場に織り込まれていません。しかし、どちらかと言うとバイデン大統領よりも緩和的な政策を好む印象があります。その為、条件付きの減税政策や、それこそ利下げを急がせるだったりと、様々な変化が予想されます。そのあたりはまだ先の話にはなりますが、大統領選に向け、利下げの話から大統領選に目線が移っていくと思いますので、要注目かなと考えています。


   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)




 EU圏については、先週ECBが政策金利を発表。今回も4%で据え置くことを発表しました。先週ラガルド総裁は、政策金利の引き下げについては夏頃になる可能性が高いと表明しており、12月頃から持ち上がっていた3月あたりでの早期利下げ論を牽制しています。ただ、今回の会見においては利下げ時期について言及はしませんでした。

   ※引用:ロイター(画像クリックで記事にアクセス)



 しかし、ユーロ圏においては、主要国であるドイツやフランスにおける経済減速が明らかになってきています。勿論、最も怖いことはインフレ再燃による再利上げです。その為、ラガルド総裁としては現段階で早期利下げについて言及することは無いと思われますが、仮に現状の政策金利を継続した場合、夏頃には経済はかなり悪化していると予想されています。よって、景気減速が加速する前の4月会合あたりで利下げせざるを得なくなる、との予想が主流になっているようです。仮に4月頃に利下げする場合、奇しくも日銀の利上げ予想時期と重なりますので、ユーロ円においては4月になる前に先行して徐々に円高方向へと動く可能性がありそうです。


   ※引用:NRI(画像クリックで記事にアクセス)



 纏めると、日銀は4月頃に利上げをするとの見方が強まっています。しかし、YCCは継続する可能性が高そうです。一方、アメリカにおいては直近の個人消費の指標は堅調ですが、インフレの指標は下落傾向である為、3月での利下げの可能性を考慮しておく必要がありそうです。逆にユーロ圏においては4月頃の早期利下げ論が持ち上がっており、その可能性も高そうな印象を受けます。

 以上の海外動向を考慮すると、日本と主要国との金利差が縮まる時期は近づいてきていると感じます。ただし、それはまだ数ヶ月先の話であり現状は金利差が縮小していない為、ドル円やユーロ円においてはどっちつかずのレンジになっているのだと思われます。ただ、夏頃までには主要国は利下げする可能性が高い為、金利差はいずれ縮まります。スワップ狙いのキャリートレード勢もどこかで撤退するでしょうし、その時期を見定めていることと思います。きっかけ一つで風向きが大きく変わる可能性がある為、今後も一方的な円安が続くとは考えず、転換の時期を見定めていく必要がありそうです。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルはレンジ状態。押し目になるのか、下落転換にチャレンジするのか見てから動いた方が良さそう。
・日足レベルではヘッドアンドショルダーのネックラインで落ちるかに注目。
・週足レベルでは長期トレンドの転換の瀬戸際だが、上抜けた場合は上昇トレンド続行。
・週足レベルで転換するかが今後の為替動向を大きく左右する可能性がある。


 先週のドル円はレンジ気味の展開。一瞬下落もしましたが、結局すぐに戻って来ており、押し目っぽさを醸し出しています。


 4時間足においては、一旦調整が入りましたが、下落はそこそこですぐに上昇。押し目っぽい形をしてはいますが、調整が浅くあまり良い押し目とは言えません。果たしてこれで日足レベルのヘッドアンドショルダーのネックラインを突破出来るのか疑問ですが、昨年の超円安トレンド時はこのような押しが浅い展開からの上昇が続きました。今年に入ってから円安トレンドが継続してはいるものの、昨年と違い各国の利下げが見えてきている状況です。ただし、現段階では円を買う理由も見当たりません。よって個人的には、決め手にかけるレンジ的展開が続く可能性が高いと考えています。その為、まずは4時間足レベルで更なる上昇(5波動目?)を見せるのか、或いは下落転換するのか、を見る必要がありそうです。




 日足レベルでは、年明けからの上昇は2波動目であり、その後に3波動目の下落が生じると予想していました。しかし、上昇が続いている今、そのシナリオはほぼ打ち破られたと考えています。ただ、最後の砦としてヘッドアンドショルダーの肩のネックラインが機能しているように見えます。よって、ここで落ちるのか、或いは打ち破っていくのか引き続き注目かなと考えています。そのまま上昇を続けた場合は、テクニカル的には更なる上昇が見られる展開ですし、逆にここで跳ね返されて4時間足レベルで下落転換した場合は、日足レベルの下落トレンド継続なのかなと考えています。




 週足的レベルでは足踏みが継続。先週から進展無しです。現在は短期足ではよく見られる上昇の形に近づいてきています。このまま151円あたりまで行くようであれば、アセンディングトライアングルの形である為、上辺のラインを突破次第、更なる上昇を見せる可能性があります。しかし、逆にトレンドラインを割った場合は、数十円レベルの大きな下落が見られる可能性があります。その為、ここを上に抜けるのか、或いは下に抜けるのかは長期的な流れを決める重要な局面なのかなと考えています。




 テクニカル的には先週からほぼ何も変わっていません。4時間足レベルでレンジに入っていますが、ここで更に上昇を継続するのか?或いは下落転換するのかで今後の展開が大きく変わってきそうです。下落する場合は日足レベルの大きな下落トレンドが再開し、週足レベルの下落転換にチャレンジする可能性が高そうです。現在はファンダメンタルズ的にも転換点だと思いますので、ここから更に上昇するのか、或いは下落転換するのか、動きを見定めてからアクセルを踏み込んだ方が良さげな感じがします。

 それでは今週もがんばりましょう!

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