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こんばんわ!
1/15週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・日本は大震災及び、原油価格の下落を受け、早期利上げ実施の可能性が減少。結果、強い円安圧力に。
・東京CPI及び、原油価格の下落傾向を考慮し、日銀は2024年の物価見通しを引き下げる可能性。
・アメリカはCPI、PPIの結果を受けて長期金利が下落。
・3月FOMCにおける利下げの可能性は尚、健在。


 先週のドル円は前週の一方的円安トレンドを継続。年明けから僅か1週間で6円の上昇を見せました。しかし、材料絡みで下落。一旦、小休止している状況です。


 日本においては、年明けに大震災が発生したことで、金融引き締めにあたる利上げを実施する可能性が低くなったのではないか?という憶測が広がりました。

 年末時点では植田総裁がチャレンジング発言をしたこともあり、少なくとも1月にはマイナス金利は解除されるだろうという早期利上げ論が持ち上がっていました。しかし、年末の政策金利決定会合での植田総裁の発言、そして今回の大震災によって1月のマイナス金利解除論はほぼ完全に消えたと思われます。

 また、先週発表された東京CPIでは、想定を下回る結果が見られ、下落傾向にあることがわかりました。これは企業の輸入物価高騰分の価格転嫁が弱まってきていること、そして原油価格が落ちてきていることが主な要因だと思われます。原油価格については、年明け早々、サウジアラビアがアジア向けの原油価格を今後更に値下げするとの声明を出しています。

   ※引用:ロイター(画像クリックで記事にアクセス)



 特に原油価格が下落傾向にあるというのが大きいかと思われますが、これら要因により、日銀は物価上昇率の見通しを引き下げる可能性があると言われています。

   ※引用:Bloomberg(画像クリックで記事にアクセス)



 昨年の日銀展望では、2024年の物価見通しは2.8%とされていましたが、2.5%にまで引き下げると言われています(2025年は1.7%で変わらず)。この想定の下振れにより、目標としている安定的かつ、持続的な2%のインフレからは遠のき、マイナス金利解除も遠のいたという見方が強まりつつあります。しかし、個人的にはこれはマイナス金利解除への布石になり得るのではないかと考えています。

 インフレ率は基本的に前年度の物価が基準になります。その為、前年度が高インフレであれば、翌年も同じレベルで価格が高騰したとしても、インフレ率は前年度より低下して見えるものだと思います。よって、2024年のインフレ率の見通しを引き下げたということは、もし想定していないインフレ要因が生じた場合は、2025年のインフレ率が上昇し易くなるということになります。

 その想定が難しいインフレ要因として、春闘での賃上げが控えています。仮に日銀の想定を超える春闘の結果が出た場合、従来想定より2025年のインフレ率は高くなる可能性があります。2025年のインフレ率を見て分かる通り、日銀は第二の力(賃上げの価格転嫁による物価上昇の力)を低く見積もっている可能性が高いです。よって、現状では第一の力(円安、海外インフレによる物価上昇の力)は弱まりつつありますが、逆に第二の力が想定を超えた場合は次年度の物価上昇見通しが従来より上振れやすくなります。結果として、2%以上の物価上昇を3年連続で確認かつ、賃上げが適切に価格転嫁されたインフレが見られると言うことで、デフレ脱却宣言かつ、マイナス金利解除を実施するというストーリーを組み立てやすくなるのかなと考えています。もちろん、これは見方の一つですし、春闘が想定を下回る結果だった場合はマイナス金利解除も危うくなるかと思われます。


 アメリカにおいては先週、CPIの発表及び、PPIの発表がありました。どちらの結果も大きなインパクトはありませんでした。



 CPI総合については市場想定を上振れかつ、前月比をも上回っています。これだけ見るとインフレ圧力は健在であり、とても利下げできる状況では無いように思えます。結果、初動はアメリカ長期金利の上昇。為替市場ではドルが買われ、円が大きく売られました。一方、コア指数は前月に引き続き、前年同月比で低下。ゆっくりとインフレが鈍化してきていることが見て取れます。よって、長期金利はそこから更なる上昇を見せず、逆に低下。結果としてドルは売り戻され、円は買い戻されました。

   ※引用:nikkei225jp.com



 ニュースでは早期利下げ論が遠のいたとの報道が見られましたが、個人的にはそう言えないのでは無いかと考えています。そして、長期金利が行って来いしていることから、市場も同じ印象を持っているのでは無いかと考えています。何よりコア指数の低下が継続しており、インフレ圧自体は落ちてきていることが見て取れます。よって、この結果で利下げ時期が遠のいたとは言えないでしょうし、3月での早期利下げの確率が高まったとも言えないのかなと考えています。

   ※引用:ロイター(画像クリックで記事にアクセス)



 一方、PPIについては3ヶ月連続で低下。市場想定も下回りました。この結果は明らかな物価圧力の緩和と言えると思います。よって、アメリカ長期金利は大きく下落しました。

 先週の雇用統計が強過ぎましたが、その後の経済指標を見る限り、ほぼ真逆の結果が出ています。雇用統計はほぼ下方修正されており、おそらく今回も下方修正される可能性が高いです。そう考えると、やはりインフレ圧力は着実に低下してきており、今後の指標結果次第では3月FOMCでの利下げもあり得るのではないかと考えます。よって、今後のアメリカ長期金利は、再び早期利下げ論を織り込み、下落傾向になるのではないかと考えます。もちろん、指標の結果次第で再び上昇することもあるかと思われますが、下落傾向は続く可能性が高いと考えています。


 ユーロ圏、イギリスについては大きな変化は無し。EU、イギリスの長期金利については12月に下げ過ぎた分、今年に入ってから上昇傾向が続いていましたが、先週はほぼ横ばい。ここからの指標及び、要人発言に目が向けられることになりそうです。

 唯一のトピックはラガルド総裁の発言。インフレはピークを超えた為、利下げも可能になるとの見方を発信しました。しかし、金利変化はほぼ無し。これまで3月あたりでの早期利下げ論を織り込み金利が低下してきていましたので、利下げ時期が分からないような発言では金利は動かないのでしょう。結果、無風で終わっています。

   ※引用:ロイター(画像クリックで記事にアクセス)




 先週は、マイナス金利解除の否定及び、アメリカ・EU・イギリスあたりの主要国の早期利下げの否定によって、大きな円安となりました。しかし、円安材料は出尽くした可能性があります。ただし、円高要因もありません。よって、ファンダメンタルズ的観点で言えば、今週は為替への影響は限定的となり、テクニカル的要因で動く傾向が強まりそうです。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルは上昇3波動目が開始されたが、高値更新幅が小さかった為、まだ上昇の余地あり。
・日足レベルでは147~148円の抵抗帯を抜けずに下落すれば下落3波動目が開始。
・週足レベルでは長期トレンドの転換の瀬戸際だが、上抜けた場合はシナリオ変更。
・週足レベルで転換するかが今後の為替動向を大きく左右する可能性がある。


 先週のドル円は、4時間足レベルの3波動目の上昇が見られました。一方、日足で見ると、戻り高値になるなら最適な形となっています。


 4時間足レベルでは、上記に記載した通り、押し目から3波動目の上昇が見られました。材料の力も借りて上昇しましたが、3波動目にしては上昇幅が小さいなという印象でした。ただ、まだ上昇トレンドの最中。ここからもう1波動上昇波が来る可能性があります。それを5波と捉えるべきか、3波の継続と捉えるべきかは分かりませんが、上昇の余地はまだあると考えます。しかし、高値更新が小さかったあたり、上昇も限界の可能性があります。よって、ここで4時間足レベルで下落転換、そして日足レベルの3波動目の下落へと繋がり、大きな下落になる可能性もありそうです。



 日足レベルでは、2波動目の上昇が継続。11月末からの下落を1波動目と捉えるた場合、大体半値戻ししている状況です。MA100の形を見ても下落トレンドが継続する可能性が高く、上記の4時間足レベルで下落転換した場合は3波動目の下落が始まる可能性があります。逆にもし147~148円あたりの抵抗帯を上抜けた場合、シナリオが崩れます。その際は、また新たなシナリオを模索する必要がありそうです。



 週足的レベルでは2週連続で陽線。しかし、2週連続で長めの上髭を出しており、迷っている印象を受けます(しかも先週はピンバー)。下落の場合はトレンドラインを割るかどうかが重要だと思われます。確定的に割って行った場合は130円付近の次の抵抗までは下落する余地があります。一方、ここで上昇し、アセンディングトライアングル的な形になった場合、テクニカル的には160円を超えるところまで上昇する余地がありますので、ここからの攻防には注目です。



 テクニカル的には、日足の下落トレンドが継続する場合はそろそろ下落が始まる可能性があります。その辺りは4時間足の動向次第になりそうです。一方、週足レベルでは上昇、下落のどちらにも行き得る可能性が未だありますので、決着がつくまでは長期的な方向性は断定できないかなと考えています。

 それでは今週もがんばりましょう!

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