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こんばんわ!
11/20週の展望です。

◾️ファンダメンタルズ観点の展望
・日銀は変化なし
・アメリカはCPI鈍化にて、長期金利が更に下落
・他の主要国でもインフレのピークアウトの兆候
・結果、円売り一転、円買い傾向になっている


 先週のクロス円は週前半こそは一方的上昇を続けていましたが、アメリカCPI発表を境に大きく下落。久々にまともな下落トレンドを見る事ができました。ファンダメンタルズ視点で言うと、アメリカを含め、主要国の長期金利が下落し始め、円が買い戻され始めている事が大きいかと思います。


 まず日本の状況整理ですが、日銀は全く動きを見せません。粘り強く緩和という発言をほぼ毎日発言をくり返していますが、これまでの経緯を考えると、突然長期金利を上げたりすることはないと思われます。YCCの解除条件は賃金と物価の好循環としていますが、先週触れたように、個人的にはこれは厳しい道のりであると考えています。

 岸田首相は5%以上の賃上げをくり返し訴え、今週も経団連に要請をしました。一方、中小企業振興等を手掛ける日商会頭はこれまでの繰り返しになりますが、円安の状況下では、賃上げで物価高を追い越すことは不可能、との発言をしました。国外向けビジネスを柱としている企業からすると、円安影響で増収している状況です。一方、国内向けビジネスがメインとなる企業(こちらの方が多い)は、材料費の高騰分を単価にオンしているだけの状況で有り、基本的には物価高が増収には結び付き辛い状況です。賃上げが相当負担になる企業も多いのではないかと予想しています。

   ※引用:テレビ朝日報道局(画像クリックで記事にアクセス)



 よって、賃上げ可能な企業と、そうでない企業で明暗が分かれるのではないかと考えています。来春の春闘にて、どこまでの賃上げが見られるのかは分かりませんが、結局実質賃金はマイナスでした、となる可能性もあり得ます。そうなった場合、2025年のインフレ率は日銀想定の通り2%を下回る可能性があります。果たしてその場合、日銀はやはりYCCを解除しないのか?が現状読めないポイントだと考えています。しかし、少なくともそれらのデータが出揃う来年7月頃までは日銀は動かないのではないかと考えています。


 一方、アメリカでは月初、インフレ状況を推し量る為に重要となる雇用統計にて、市場想定を下回る数値が発表されました。結果、景気の減速感及び、インフレ圧力の低下が見て取れました。そして、先週はもう一つの重要指標であるCPIの発表がありましたが、雇用統計と同じく市場想定を下回る結果でした。

   アメリカ10月CPI 前年比 ※引用:Investing.com



 その結果、長期金利は大きく下落。雇用統計前には一時5%程度にまで上昇していた長期金利は、上記2つの経済指標結果を受け、4.4%あたりまで下落。今後のFOMCにて、利上げを実施する可能性が更に低くなったと捉えられているのだと思われます。実際、今回の経済指標結果を受けて利上げ確率が0%になったという報道すら目にします。


   アメリカ長期金利 ※引用:楽天証券



 そして、アメリカ以外の主要国においても長期金利の下落傾向が見て取れます。ECBのボードメンバーがインフレのピークアウト及び、利上げは停止するといった内容を発信したり、イギリスのCPIが市場想定を下回ったりと、長期金利は今後下落していく可能性が高まっています。そういった背景もあり、円売りが一転、買い戻されたのだと考えられます。

   イギリス10月CPI 前年比 ※引用:Investing.com



   EU圏長期金利 ※引用:楽天証券



 もちろん、相場は未来を織り込むもの。必ずしもそういった要素を素直に反映しない事があります。先週の週前半は各国の長期金利が下落していたのにも関わらず、円は売られ続けました。これは、なかなか説明をつけることが難しい現象です。アメリカと中国の会談を受け、情勢悪化の可能性を案じたからかもしれませんし、単なる急激的な円売りの反対売買かもしれません。また、オプションや、大口の仕掛け等で流れが作られることもあります。様々な要素が絡み合ってチャートが形成されている為、長期金利の下落がすぐチャートに反映されないこともあるかと思います。しかし、長期的に見れば日本と諸外国との金利差の縮小は必ずチャートに反映されていくと思います。

今後の市場の興味はいつ利下げするのか?になると思いますが、それは長期金利が下落することが前提となっています。日銀は動かないかもしれませんが、海外が利下げを始めれば、おのずとクロス円通貨では過度な円安トレンドが終焉を迎えると思われます。

今週の重要材料はこちら!



◾️テクニカル観点の展望
・4時間足レベルでは下落トレンドに転換したが、この流れが継続するか確認が必要
・日足レベルでは久しぶりに大陰線が現れたが、まだ下落トレンド転換とは言えない
・週足レベルでも久しぶりに陰線が現れたが、まだ上昇トレンドの最中
・下落の兆候はあるが、まだ下落転換と言うには時期尚早


 先週のドル円は週半ばから下落トレンド。これまでは何があっても結局、上昇していた為、久しぶりにテクニカルに沿った動きを見た気がします。

 4時間足はMAを割り、その後戻しましたが、押さえつけれて下落。結果、本格的な下落トレンド入りとなりました。ポイントとしていた安値同士に結んだラインも割りましたし、MAの形、ろうそく足の形を見れば完全な下落トレンドです。通常、この展開における次のアクションは戻り高値からの下落狙いです。プルバックがどこまで行くのかは分かりませんが、下位時間足において転換のアクションが見られた場合はショートで入るのがテクニカルに沿ったトレードだと思います。しかし、この展開で上に戻っていくドル円をここ3ヶ月間、何度も見ています。よって、完全な戻り高値からの下落パターンが騙しとなり、上昇回帰した場合は潔く目線を切り替えた方が良いかと思います。


 日足で見ると、まだまだ上昇トレンドの真っ只中。陰線が続いていますが、日足だと全然下落していない感覚です。あまりにも下落していなかった為、感覚がおかしくなっていますが、通常ある程度の押しが見られるものです。そういった押しを狙ったロングが入ってくる可能性もあります。このままMA100のあたりまで押していくのか、或いはどこかで反発するのかわかりませんが、下落するにしても素直に動かず、もう一波乱ありそうな感じがします。結局、介入圧力もあってか上昇チャネルには届いていませんが、下のチャネルラインとMA100を破るまでは上昇回帰の可能性を考えておいた方が良さそうです。


 週足で見ると、4ヶ月ぶりにまともな陰線が見られました。現段階ではこれを下落の第一歩と判断することはできません。ただ、チャネルラインの上辺に近づいて抑えられているようにも見えます。もしこのまま陰線が続いていくようであれば、上昇の終焉を考慮し始めても良いかもしれません。ただ、テクニカル視点で言えば、週足で見た場合はまだ上昇する可能性があると言えます。


 4時間足レベルで下落トレンドとなりましたし、ファンダメンタルズ観点も併せ、ようやく下落の兆候が見えています。しかし、まだ一筋の光というレベルであり、これを下落転換と考えるのは早急かと思います。ただ、相場の転換点が近づいている事は確かだと思いますので、自分にバイアス(上昇する、下落するといった思い込み)をかけずにトレードする必要がありそうです。

 それでは今週もがんばりましょう!

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